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【トレンド日本】日本は「ヨーヨー」強国、トップ選手ゾロゾロ…今夏、東京で世界選手権 競技用ヨーヨーも日本製が人気

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日本は「ヨーヨー」強国、トップ選手ゾロゾロ…今夏、東京で世界選手権 競技用ヨーヨーも日本製が人気

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 子供の頃に一度は遊んだ経験がある、という物の1つがヨーヨーだろう。1980年代には玩具の域を出なかったヨーヨーは今、エンターテインメント性を兼ね備えた競技として進化。昨年の世界選手権では複数のランクで日本人が優勝したり、トップ選手が手にする競技用ヨーヨーは日本製だったりと、競技者人口は多くはないものの、競技ヨーヨー界で日本は重要な位置を占める。そんな中、今年8月には世界選手権が国内初開催され、出場権をかけた「全日本ヨーヨー選手権」は5月2、3の両日、東京・秋葉原で開かれる。今のヨーヨーの世界を探ってみた。(日野稚子)

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昔と今では大違い

 東京・秋葉原のヨーヨー専門店「スピンギアAKIBAカルチャーズZONE店」には、ヨーヨー愛好家や外国人観光客が目当ての品を買いにやってくる。プラスチック製やアルミといった金属製など、素材も色もさまざまな約400種が揃う。最高額は削り出しチタンを使った「ヨーヨーリクリエーション」(三重県)製の5万9800円(税抜き)。“玩具”というには息をのむ価格だが、人気で生産が追いつかず海外にもなかなか出回らない一品だ。

 「競技用は1万円後半~2万円程度が中心価格帯ですが、初心者向けも昔とは大違いで、格段に技がやりやすくなりました」と話すのは同店を経営する「そろはむ」社長の長谷川貴彦さん(39)。一般社団法人日本ヨーヨー連盟(愛知県岩倉市)国際・渉外担当も務めている。ビギナーや一般向けのヨーヨーは、1000円前後から入手できる。

 今のヨーヨーの内部構造は、中高年が子供時代に使っていたヨーヨーとは異なる。軸にボールベアリングを搭載したヨーヨーが1990年代に米国で開発され、誰でも簡単に“回し続けられる”ヨーヨーとなった。長谷川さんによれば技もやりやすくなり、「子供の頃、ヨーヨーを手にしたことがある大人は、当時と比べて理解力も高まっている分だけ技を早く習得できる。技ができるから、どんどんはまっていく」。

 この、ボールベアリング搭載ヨーヨーは、玩具メーカーの「バンダイ」が「ハイパーヨーヨー」の商品名で1997年に国内導入し、一気に広まった。ハイパーヨーヨーのブームが起きるたびにヨーヨー人口は増え、現在、国内ヨーヨー競技者の主力は97年頃に熱中した「第1期世代」、2003年頃の「第2期世代」、10年以降の「第3期世代」に大別できるという。

 かつてのヨーヨーを楽しんだ人も多い。40代以上ならコカ・コーラ社がオリンピック開催年(1976年、84年)に販促品にした「コカコーラヨーヨー」が、40歳前後ならTVドラマ「スケバン刑事」(85~87年)が引き金になったはずだ。

 長谷川さんも最初に熱中したのは小学生の頃に見たこのドラマがきっかけ。その熱が再燃したのは97年。ハイパーヨーヨーのプロモーションで来日したプロ選手、アレックス・ガルシアさん(米国)のプレーを見て「かっこよくて大はまりしてしまったんです」。

 同年に来日した「ヨーヨーの神様」デール・オリバーさん(米国)とも偶然の交流を得て以来、長谷川さんはヨーヨーとともに人生を歩むことになる。2002年、05年、11年と3回、世界大会の「AP(アーティスティックパフォーマンス)部門」で世界チャンピオンの座に輝き、03年には「全米ヨーヨー博物館」が任命する「ヨーヨーマスター」の称号を日本人で初めて受けている。06年公開の映画「スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ」ではヨーヨー指導も担った。

できなかった“あの技”ができた

 そんな長谷川さん指導の下、ボールベアリング搭載ヨーヨーを体験してみた。

 利き手の中指、第1関節と第2関節の間に紐を付ける。掌を上に向けて持ち、力こぶを作るように構えたら、腕を真っ直ぐに振り下ろしてヨーヨーを投げる。「一番下まで降りたら、掌を下に向けて」と長谷川さん。

 ヨーヨーは下にいるのに回り続け、手を少し上に挙げると勝手に戻ってくる。ヨーヨーそのものに触れるのは十数年ぶりで、器用でもない。コカコーラ(ヨーヨー)時代は私はほとんど成功しなかった空転ができている。これこそがボールベアリング搭載の効果だ。空転するヨーヨーをそっと床に置けば「犬の散歩」という技に、空転するヨーヨーの紐の中ほどを空いた片手でつまみ、三角形を作ると「ブランコ」という技になる。「コカコーラ時代のチャンピオンは今のヨーヨーとは違う構造のヨーヨーで技をやっていたんですよね。技術そのものが違う」(長谷川さん)

 長谷川さんが言うには、1人で遊べるヨーヨーは「やればやるほど技術習得につながるので、内向的な人ほどはまりやすい。上達して、そんな技はできないだろう、という技ができるようになると同好の士とつながるきっかけにもなる」。ヨーヨーさえ持っていればどこででも楽しめるので、「大人が集まっての飲み会も、ヨーヨーばかりで飲酒が始まらない」そうだ。

世界で活躍する日本人

 競技としてのヨーヨーは、音楽に合わせてリズミカルに技を繰り出す「フリースタイル競技」が中心だ。世界大会では、使うヨーヨーの種類や同時に扱う個数によって部門が分かれており、タイトルを競う。

 世界大会は30以上の国と地域から500人超の選手が参加。92年の初回以来、2013年まで米国開催だったが、14年からは欧州、アジア、米国の3地域を巡回する方式に変わった。

 14年は愛好者の多いチェコ・プラハで行われ、タイトルを競う6部門中5部門で、小学生や高校生、社会人など日本勢が占めた。国内の競技大会参加者は500~600人程度だが、「競技用の国産ヨーヨーは職人気質の町工場生まれで精度が高く、世界的にも評価が高いんです」(長谷川さん)。

 そんな中での8月の日本開催には、前年チャンピオンにはすでに出場権がある。ゴールデンウイーク開催の日本選手権には約160人が参加予定で、優勝者には日本代表として世界大会の準決勝シード権が与えられる。会場の東京・秋葉原の「ベルサール秋葉原」は世界大会の会場でもあり、前哨戦の地としては最適だ。

 「日本選手権では、10、20、30の各世代が同じステージで技を競うことになる。規定時間の中で音楽に合わせて技の完成度を見せるのですから、世代ごとに特色が出て面白いと思います」と長谷川さん。来場者向けにヨーヨー講習会も開催する。手軽に始められ、手先の器用さも鍛えられるヨーヨー。見直してみてもいいかもしれない。