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【TOKYO まち・ひと 物語】山谷に交流カフェ建設中 多様性生かした街づくりを 19日までクラウドファンディングで資金集め

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山谷に交流カフェ建設中 多様性生かした街づくりを 19日までクラウドファンディングで資金集め

TOKYO まち・ひと 物語更新

 山谷-。住居表示にはないが、南千住駅周辺(東京都荒川区、台東区)にある日雇い労働者向けの簡易宿泊所が並ぶ街だ。もちろん一般住民も住んでいるし、観光客、特に外国人旅行者が安いホテルを利用するため訪れるようになった。

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 そんな山谷で、多様性を生かした街づくりを進めているのが、一般社団法人「結 YUI」だ。現在、2軒の観光客向けホテルと1軒の簡易宿泊所を運営。ホテルは外国人が多く、簡易宿泊所は「見守り型」として、社会福祉士や精神保健福祉士が支援している。

 代表理事の義平真心さん(44)は、山谷は地域の人と労働者が“対立”しがちに見えるという。

 「路上にごみを捨てて汚い」という住民と、排除されて不信感を持つ労働者。そこに外国人旅行者が来ても交流はない。距離を感じることで誤解が生じることもある。

 考えたのが、住民と労働者、旅行者が交流し関係性をつくるカフェの建設だ。

 運営しているホテルの1階にカフェを造り、イタリアで始まった「Suspended Coffee(サスペンデッドコーヒー)」の仕組みを採用。例えば、2杯のコーヒーを買い、1杯を「思いやりコーヒー」として労働者に提供する。ギフトを通して人をつなげる試みだ。

 周辺のごみ拾いをすると食事ができるようにすれば、お金がなくても入れるようになる。カフェだけでなく、将来的には街のガイドなど労働者の就労機会もつくれる。

 「働いた対価として食事を得れば、街の一員としての誇りも生まれるのではないか。福祉と観光のバランスが必要」と義平さん。

 設計も終わり、イタリア人シェフも決まっている。課題は資金だ。クラウドファンディングで19日までに200万円を集める目標に対し、5日現在、47万円にとどまっている。

 カフェをつくる理由の一つにこんな体験がある。路上生活者の男性をホテルに受け入れたとき、当初、表情のなかった男性が部屋の掃除をしながらコミュニケーションを取るうちに、だんだん表情が出てきて、服装にも気遣うようになった。

 「人って変わるんだと実感するとともに、さりげない支援を通じて、自尊心を取り戻してあげないと立ち直れないと思いました」 

 義平さんは日米の大学院で都市工学を学んだ。発展途上国の不利な条件下でのコミュニティー開発に関心があったという。だが、山谷を訪れたとき、同じ状況下にある街だと感じて関わるようになった。

 「山谷は魅力的な街。いろいろな人が集まってくれば新しいものが生まれるはず」。義平さんはそう願っている。