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【突破する日本】「森友」「加計」で怪しい安倍政権の空気作る 「倒閣」「改憲潰し」狙う野党・一部メディア 八木秀次

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「森友」「加計」で怪しい安倍政権の空気作る 「倒閣」「改憲潰し」狙う野党・一部メディア 八木秀次

突破する日本更新
憲法改正を訴える会合に寄せられた安倍首相のビデオメッセージ=5月3日、東京都千代田区 1/1枚

 野党や一部メディアによる「安倍晋三内閣=悪代官」といった印象操作は、倒閣と「改憲潰し」を狙っているようだ。動きは2月の「森友学園」問題から始まり、5月以降の「加計学園」問題で加速、東京都議選で頂点に達した。(夕刊フジ)

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 今回の印象操作は従来とは異なっている。特定秘密保護法や集団的自衛権の限定行使を可能にした安全保障法制の制定では、「統制社会になる」とか、「戦争を行うための法律だ」などと世論の不安をあおろうとしたが、共感は得られなかった。

 今国会で成立したテロ等準備罪を含む組織犯罪処罰法改正案でも、「共謀罪」と呼んで「一般人も対象になる」「花見をしても捕まる」と世間の恐怖心をあおろうとしたが、共感は得られなかった。それを自覚してか、朝日新聞の「共謀罪」批判キャンペーンは控えめだった。

 これらの政策批判に比して、「森友・加計学園」問題の追及は、安倍首相や昭恵夫人、側近の意向によって「行政がねじ曲げられた」とするもので、世間の「ズルい」「卑怯(ひきょう)」との感情をかき立てようとした。政府の対応のまずさもあって、それが何か「怪しい」「けしからん」との感情を醸成した。

 一部の新聞が連日、このような「空気」をつくる記事を書き立て、テレビのワイドショーが唱和する。野党や一部メディアはこちらの方が政権にダメージを与えるのに効果的と判断したようだった。この中での都議選に自民党が勝てるわけがない。

 この動きは、安倍首相が5月3日(憲法記念日)の読売新聞紙上と民間改憲団体へのビデオメッセージで、憲法9条1項、2項を維持したままで自衛隊を憲法に位置づけることを提案したことで、その本気度に火がついた。さらに、首相が6月24日、神戸「正論」懇話会で、今秋に召集される臨時国会中に自民党としての改憲案をまとめ、憲法審査会に提出したい意向を表明したことで過熱した。

 安倍首相の改憲案は特別な内容ではない。「戦力」の不保持を規定した9条2項の抜本的改正ではなく、公明党が従来唱えていた加憲案であり、民進党の前原誠司元外相も昨年9月の代表選で提案している。9条に条文を追加して自衛隊を位置づける案は、枝野幸男元官房長官も提唱している(文芸春秋、13年10月号)。

 その程度の内容なのに、改憲が具体的に政治日程に載りそうなると、倒閣と「改憲潰し」の動きが本格化した。都議選の惨敗を受けて、安倍首相は周囲に「護憲勢力の力を改めて思い知ったよ」と漏らしている(産経新聞、7月8日付)。

 憲法改正をめぐって、政策論争とは別の次元で攻防戦が繰り広げられている。

 ■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院政治学研究科博士課程中退。専攻は憲法学、思想史、国家論、人権論。第2回正論新風賞受賞。高崎経済大学教授などを経て現在、麗澤大学教授。教育再生実行会議委員、法制審議会民法(相続関係)部会委員、フジテレビジョン番組審議委員、日本教育再生機構理事長など。著書に『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)、『公教育再生』(PHP研究所)など多数。