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【日米経済対話の舞台裏】麻生太郎副総理、ロス商務長官にも触手 吉田茂譲りの老獪外交じわり ペンス副大統領と信頼関係

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麻生太郎副総理、ロス商務長官にも触手 吉田茂譲りの老獪外交じわり ペンス副大統領と信頼関係

日米経済対話の舞台裏更新
共同記者会見を終え、握手を交わすペンス米副大統領(左)と麻生太郎副総理兼財務相=18日午後、首相官邸(川口良介撮影) 1/1枚

 副総理兼財務相の麻生太郎、米副大統領のマイク・ペンスという日米ナンバー2による初めての日米経済対話が行われた18日夕、麻生は東京・南麻布のフランス料理店をひそかに訪れた。

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 「ワシントンの全米桜祭り(駐米大使主催レセプション)ではずいぶんお世話になったそうですね。ありがとう。イバンカ(米大統領・ドナルド・トランプの娘)さんも来てくれてずいぶん盛り上がったそうじゃないですか」

 この言葉に満面の笑みを浮かべたのは、米商務長官のウィルバー・ロスだった。午前中に経済産業相の世耕弘成と会談し、通商問題について協議したばかり。格が上である麻生の粋な計らいにロスは大いに喜び、話題は北朝鮮情勢にまで及んだ。

 知日派であり、著名な投資家であるロスは、トランプがかつて不動産事業で多額の借金を負った際に救いの手を差し伸べたことがあるだけに、トランプから絶大な信頼を得ている。麻生は、ペンスとの日米経済対話が万一不調に陥った場合、ロスとのパイプが役に立つと踏んだのだろう。

 麻生は日米経済対話の成功に向け、もう一つイベントを仕掛けていた。

 米副大統領のペンスが妻と娘とともに副大統領専用機で米軍厚木基地(神奈川県大和市など)に到着したのは18日午後。ペンスは首相の安倍晋三を表敬するために首相官邸に向かったが、妻と娘は虎ノ門のホテルの日本料理店を訪れた。

 にこやかに出迎えたのは麻生の妻、千賀子と長女だった。ペンス夫妻は敬虔(けいけん)なクリスチャンで知られる。麻生夫妻もクリスチャンだけに会話は弾み、笑い声は内廊下にまで響いた。

 初の日米経済対話に先駆けて麻生一家とペンス一家の家族ぐるみの付き合いは始まっていたのだ。戦前に元駐英大使を務め、戦後長く首相を務めた吉田茂の孫らしい老獪(ろうかい)な外交手腕だといえよう。

 首相官邸では、安倍がにこやかにペンスを出迎えた。

 ペンス「私を(経済対話の担当に)選んでくれてありがとう」

 安倍「あなたがパートナーであれば、日米経済対話はすでに半分は成功したようなものだ」

 ペンスは苦笑いを浮かべた。日米経済対話がまだ始まっていないのに、自信に満ちた安倍の態度にいささか驚いたに違いない。

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  18日昼、副大統領専用機で米軍厚木基地に到着したペンスは、タラップの下に居並ぶ在日米軍将校たち一人一人と握手を交わし、労をねぎらった。北朝鮮情勢が緊迫する中、来日したペンスにとって在日米軍将兵の激励は、経済対話以上に重要な任務だった。

 18日の安倍との会談では、メディアのカメラが入った冒頭のあいさつで「平和は力によってのみ初めて達成される。同盟国と力を通じて平和を達成するために連携したい」と言い切った。日本側の想定を超える力強い言葉だった。