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【新国立競技場・議事録(前編)】「スケールが大きく、技術的問題たくさんある」 ハディド案に安藤氏

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「スケールが大きく、技術的問題たくさんある」 ハディド案に安藤氏

新国立競技場・議事録(前編)更新

 自民党行政改革推進本部(新国立競技場に関する検討会議)が、日本スポーツ振興センター(JSC)から提出を受け、4日に公開した平成24年11月15日開催の国立競技場将来構想有識者会議(第3回) デザイン競技審査関係の議事録要旨(抜粋)は次の通り。

<< 下に続く >>

 河野一郎日本スポーツ振興センター理事長「それでは、定刻ですので、会議を始めさせていただきたいと思います。日本スポーツ振興センター国立競技場将来構想有識者会議に大変お忙しいところ、また、いろいろと動きのあるところに、どうも今日はありがとうございます。今、森(喜朗)先生もこちらに向かっておられるということですが、会議を始めさせていただきたいと思います。それでは、ちょっと着席させていただきます。

 審議に先立ちまして、本日ご出席いただいております委員の先生方をご紹介させていただきます。佐藤禎一委員長でございます」

 佐藤禎一委員長「よろしくお願いいたします」

 河野氏「安藤忠雄、今回の審査委員長でございます。

 小倉純二スポーツグループ部会の座長でございます。

 今、森先生においでいただきました。森委員でございます。

 都倉俊一文化グループ部会の座長でございます。

 それから、張富士夫日本体育協会会長です。

 竹田恒和日本オリンピック委員会会長でございます。

 鈴木秀典委員、日本アンチ・ドーピング機構の会長でございます。

 また、本日欠席されております委員の代理といたしまして、石原慎太郎委員の代理であります秋山(俊行・東京都)副知事でございます」

 石原慎太郎委員代理(秋山氏)「よろしくお願いします」

 河野氏「河野洋平委員の代理で尾懸(貢)日本陸上競技連盟専務理事です」

 河野洋平委員代理(尾懸氏)「よろしくお願いします」

 河野氏「それから、鳥原(光憲)委員の代理として、伍藤(忠春)日本障がい者スポーツ協会副会長にお見えいただいております。

 鈴木寛委員の代理として奥田さんにおいでいただいております。

 また、文部科学省より久保公人スポーツ青少年局長にご出席いただいております。

 国土交通省より佐藤憲雄都市局官房審議官にご出席いただいております。

 日本スポーツ振興センターより理事の藤原(誠)が出席させていただいております。

 それでは、初めに久保局長より一言ごあいさついただければと思います。よろしくお願いいたします」

 久保氏「失礼いたします。文部科学省スポーツ青少年局長の久保でございます。この会議、いつも副大臣と私とが出席させていただいておりましたけれども、ちょうど本会議と重なりまして、私が冒頭でごあいさつをさせていただくことをお許しいただければと思います。

 有識者の先生方におかれましては、このご多忙の中、わが国のスポーツ大会のメッカとしてずっと使われてきております競技場の将来構想につきましていろいろとご議論いただき、ご助言いただいてきておりますことに厚く御礼申し上げます。いよいよ今日、第3回の会議で具体的なアイデアの最終作品が決定されると伺っております。そして、来年には、いろいろ立候補ファイルの提出、そして来年度、具体的な候補地の決定に向けて、われわれ、関係機関と連携し、東京都、JOC(日本オリンピック委員会)、関係機関と一緒になってますます頑張っていきたいと思っております。

 この国立競技場の改築に向けましても、来年度、基本設計費を計上しております。この確定に向けても一生懸命頑張らせていただきたいと思いますので、今後ともご指導頂戴いたしますようお願い申し上げして冒頭のあいさつとさせていただきます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます」

 河野氏「どうもありがとうございます。

 大変恐縮ですけれども、本会議は非公開とさせていただいておりますので、報道関係者の皆様におかれましては、恐縮ですがご遠慮願えればと思います。よろしくお願いいたします」

 (報道関係者退席)

 河野氏「それでは、本日の議事につきましては、お手元の議事次第に沿って進めさせていただきたいと思います。それでは、佐藤委員長、よろしくお願いいたします」

 佐藤氏「本日はご多忙の中、お集まりをいただきましてまことにありがとうございます。第3回目の会議になります。本日の審議に当たり、一言お礼を申し上げたいと存じます。

 審議事項にございますとおり、(平成24年)7月20日から募集開始をいたしました新国立競技場基本構想国際デザイン競技につきましては、日本をはじめ世界各国から46点の応募を頂戴いたしました。これまでの間、安藤委員長をはじめ小倉委員、都倉委員、そのほか審査委員の皆様方には審査委員会においてお忙しい中、長期間にわたりご審査をいただいたことに対しまして厚く御礼を申し上げるところでございます。

 早速審議に入らせていただきますが、次第にございますように、本日の審議事項は大きく分けて2つございます。第1は、新国立競技場基本構想国際デザイン競技の審査結果を確定することでございます。審議の2は、今後のプロセスについてお諮りをすることでございます。

 審議に入ります前に、事務局から配布資料の説明をいたします」

 武本本部長「それでは、事務局より配布資料の確認をさせていただきます。次第の下のほう、資料の一覧がございます。資料1が新国立競技場基本構想国際デザイン競技2次審査結果、資料2が新国立競技場基本構想国際デザイン競技審査講評、資料3-1が今後のプロセスについて、資料3-2が国立競技場の改築に関する想定スケジュール、そして最後が参考資料として都市計画の見直しと競技場施設建築敷地の図がついています。そのほか、席上にこれまでの有識者会議およびワーキンググループの関係資料をご用意しております。

 以上でございます」

 佐藤氏「ありがとうございました。それでは、早速、審議事項の1、新国立競技場基本構想国際デザイン競技の審査結果についてご協議を申し上げたいと思います。

 先ほど申し上げたとおり、世界各国から46点の応募があり、審査委員会におきまして10月16日に1次審査、11月7日に2次審査が行われたわけでございます。本日はこの審査委員会において選定をされました最優秀候補作品3点につきまして、最優秀賞、優秀賞、入選にかかる審議をいただき、3賞の決定をいたしたいと存じております。お手元にはこれらの作品を資料1として、また、審査の講評資料を資料2として配布をさせていただいてございます。

 それでは、資料をごらんいただきながら、審査委員会の委員長を務めていただきました安藤委員から、審査の結果と講評をお願い申し上げたいと存じます。よろしくお願いいたします」

 安藤忠雄建築グループ座長(審査委員長)「今、説明にありましたように、46点の中から何段階かに分けまして、ちょうど3点を残しながら、最優秀賞、優秀賞、入選案というのを決めさせていただきました。

 46点の中でかなり難しいけれども新しい提案のあるものもありましたけれども、この3点におきましては、現実的に一番大きな問題は平成31(2019)年を目指してスケジュールがいけるかどうか。そして技術的な問題とコスト的な問題と機能がうまく重なり合うことができるかどうかということの検討をいたしました。

 まず、最優秀案から見ていただきたいと思っております。この最優秀案はザハ・ハディドというイギリスに在住するイラクの建築家です。女性の建築家です。この建築をまず見ていただきますと、直感的におわかりになるだろうというふうに思いますが、スポーツに必要な、大変躍動感のある形をしているのではないか思われると思いますが、まず、この流線形の形をした躍動感のある建築は、都市の中でスポーツを行うという意味では大変イメージがいいのではないかというふうに思いました。

 同時に、大変大きな建築物なのですけれども、構造をどのようにつくり上げていくかということと、内部でスポーツをするということにおける内部空間との関係も非常にうまくいっているのではないかというふうに思いました。

 また、同時に、この建築は全体の都市との関係から言いますと、都市のシンボルとして、日本の国が21世紀、ちょうど昭和39(1964)年のオリンピックのときに、今の代々木の体育館を見て多くの人たちが驚きますが、世界中の人たちが日本の国はすごいと。あの国は20(1945)年の敗戦の後、これだけのものを立ち上げてきたんだということについて感動したわけでありますけれども、現在の日本というのは少し沈滞をしておりますけれども、この中でこの建物をつくることによって、39(1964)年のオリンピックのころのような、いわゆる躍動感にあふれる日本の国を表現できるのではないかということを考えておりまして、この案にいたしましたけれども、この祝祭性といいますか、お祭りの中で、世界中の人たちがこのスタジアムでぜひ競技をしてみたいと思う、世界中の人たちがぜひ行ってみたいと思う空間としては一番いいのではないかというふうに思いました。

 同時に、この建築はかなりスケールが大きいのと同時に、技術的な問題もたくさんあります。そのような問題を解決できるのは日本の国の土木建築技術力でしか、なかなかつくり得ないようなところがたくさんありまして、そういう意味では日本の建築技術、土木技術、そして日本の技術力というものを世界にアピールするという意味でも非常に、これをつくり上げていくということになれば、日本の多くの国民の人たちもこれに心から参加できるのではないかというようなことも、これを選定した理由であります。

 同時に、例えば太陽光の問題であるとか、自然光の問題であるとか、地中のエネルギーの問題とかいうようなことも含めて、それを利用するという意味では、今までになかった建築のエネルギーの問題も解決できるのではないかというようなことも含めて最優秀案にいたしました。この点につきましては、かなり討議はありましたけれども全員一致で、このすばらしい案を押していこうではないかということで決定をいたしました。

 これは遠くから見たところで、これは内部空間でありますけれども、これならば芝もうまくいくだろうと。開閉の技術もうまくいくだろうと。しかし、問題はたくさんあります。これだけ大きなスケールのものを世界中でつくったことはありませんので、この技術はこれから設計者と、同時に基本設計者、実施設計者を選びますけれども、これは入札によって選ばれるわけですが、その人たちとのしっかりしたコミュニケーションの中でつくり上げていかなければならないというふうに思っています。

 これは全部オープンですね。こういう感じで。

 優秀案には、コックス(・アーキテクチャー)というオーストラリアの建築グループが選ばれたのですけれども、遠くから見るとかなり巨大なものでありますけれども、透明感のある、具体性に富んだ、この建築は具体的に機能性と建築技術的な問題と、実現性においては非常に大変高いのではないかと。今回においては最優秀案よりも具体性ではこちらの方が高いのですけれども、われわれはスポーツというのは挑戦すると、可能性に挑戦するという意味では最優秀案のほうが、それに日本の技術者が立ち向かっていくという意味ではいいのではないかというので最優秀案にはしませんでした。そして、この実現性のある、ある面では臨場感もありますし、屋上庭園等も含めて大変魅力的な案がたくさん織り込まれています。また、ホスピタリティの問題等も提案がありまして、ある意味では国立競技場としては問題ないというふうに思いましたけれども、こちらよりも最優秀案のほうが魅力的であるという意味で最優秀案を選びました。

 これは内部ですね。

 同時に、最優秀案も優秀案も、いわゆる開閉式でありますので、このあたりが大変これから解決していかなければいけない問題がたくさんあるというふうに思います。

 入選案は、最優秀案と同時に珍しく女性でありまして、これはSANAAという、妹島和世さんという日本の女性と日建設計の案でありますけれども、ここでも非常に、いわゆる流れのある、そして都市になじむ、ある面ではこの案は一つ、都市空間の中のなじみとしてはうまくいくのではないかと思いましたけれども、ダイナミック性とか力強さという意味では最優秀案のほうがよかったのではないかということで最優秀案にしましたけれども、この案もなかなか新しい時代の新しい形の建築なのではないかと思いました。

 大変、曲面を多用しながらリズミカルな建築になっています。そして、軽々とした屋根が大変魅力的で、大変特徴的なんですけれども、この特徴的で魅力的な屋根が、ひょっとして競技場として、人々の意識を真ん中、いわゆる競技をしている人たちに集中できないのではないかという人たちもたくさんいました。私もそのように思いました。そういう面で、都市的には大変魅力があるけれども、競技場としてどうなんだろうかという疑問がありまして、最優秀案のほうに点数が行きました。また、この曲面は、屋根の仕上げ、屋根の構造等についても無理があるのではないかということと、開閉式ということを考えてみますと、この曲面の中にあの大きな屋根をすっぽりうまくおさめ込めるのかなというような疑問がたくさんありましたけれども、全体的に設備の問題、構造の問題、そしてあらゆる新しい提案においては大変緻密に計画をされているように思いましたけれども、最優秀案には追いつかなかったというように思います。

 全体的にこのような形で最優秀案、優秀案、そして入選案を決めさせていただきましたけれども、これからこれを基本設計をし、そして実施設計をし、工事が始まるまでは難問が幾つか出てくるだろうというふうに思いますけれども、このあたりを委員会の人たち、そして基本設計をする人たち、実施設計をする人たちと徹底的に討論をしながら進めていきたいというふうに考えております。

 ありがとうございました」