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ポテサラ、加熱食品で分かったO157の怖さ 危ないのは夏だけではない 調理で注意はズバリこれ!

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ポテサラ、加熱食品で分かったO157の怖さ 危ないのは夏だけではない 調理で注意はズバリこれ!

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腸管出血性大腸菌O157(東京都健康安全研究センター提供) 1/7枚

 埼玉、群馬両県で販売された総菜店の商品が原因とみられる腸管出血性大腸菌「O157」による集団食中毒。東京都内の3歳女児が死亡。する最悪の事態となったが、感染源の特定にはいまだいたっていない。O157の怖さが改めて浮き彫りとなった。O157による食中毒は夏から秋にかけて多発する。が、ピークを過ぎた冬でも感染者の報告はある。継続的な注意が必要だ。

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集団食中毒検証 トングが悪いのか?

 O157は、牛などの腸管内にいる菌。これまで国内で起きたO157の感染事例で原因食品と特定、あるいは推定されたものは、井戸水▽ハンバーグ▽レバ刺し▽カイワレ大根▽サラダ▽白菜漬け▽キュウリのあえ物-など多岐にわたる。

 野菜はきれいに見えても、牛糞で作られた堆肥の発酵が不十分で菌が残っていたり、牛の排泄(はいせつ)物が農場内に流れ込んだりするなどで、O157に汚染されていることがある。O157は加熱によって死滅するが、汚染された野菜を生で食べるサラダやあえ物は感染のリスクが高いのだ。

 しかし、今回の集団食中毒で死亡した女児が食べたのは、エビの炒め物やきんぴらなど加熱調理された料理。汚染は加熱調理後の可能性が高い。そこで疑惑の目が向けられたのが、取り分けに使われたトングだ。

 感染者11人を出した前橋市の総菜店を検査した前橋市保健所は、トングの扱いをはじめ、ずさんな衛生管理態勢による“二次汚染”を強く疑った。

 ただ、NPO法人「食の安全と安心を科学する会」の山崎毅理事長は「トングは二次汚染にかかわった可能性はあるが、根本原因ではない。最初の汚染が防げていれば、二次汚染もないわけで、トングばかりに注目するのは意味がない」と指摘する。

いや、ポテトサラダが疑わしいのか?

 今回の食中毒の根本原因には当初、ポテトサラダが挙がっていた。食中毒の出た埼玉県と群馬県の店で販売されたポテトサラダが同じ加工場で作られていたためだ。

 が、この加工場に残されたポテトサラダから菌は検出されなかった。

 それでも、食品の安全にかかわる専門家の多くは、ポテトサラダ説を有力視する。

 一般的にポテトサラダは、加熱したジャガイモにキュウリやタマネギ、ハムなどの食材を混ぜて作る。

 今回食中毒が出た販売店がチラシに載せたポテトサラダの写真を見ると、キュウリが使われていた。キュウリを原因とするO157の集団食中毒はこれまでにもたびたび起きている。今回もそうなのではないか、という見立てだ。

 一方で、食品衛生行政に携わったことのある医師は「最初にポテトサラダに気を取られたことで、別の感染源の食材を見逃しているのではないか」と推測する。もっとも、すでに「別の食材」が残っているはずもなく、もはや調べることすらできないだろう。

 ところで、いまだに感染源が特定されないことを不思議に思う人が多いだろう。

 通常の食中毒は食べて数時間~2日ぐらいで発症するが、O157による食中毒は2~7日(平均は3~5日)と、比較的長い潜伏期間を経て発症する。

 今回の食中毒でも、埼玉県が公表した資料によると、8月7、8日にポテトサラダを食べた人で最初に発症したのは11日だった。

 ひどい下痢をしたときに、3~4日前の食事が原因とはなかなか考えないだろう。また、3~4日後の場合、すでに食材が残っていなかったり、まな板や包丁がきれいに洗浄されたりする。

 このため、O157による食中毒は感染源が特定できないことが、それほど珍しくないのだ。

写真ギャラリー

  • O157を含む腸管出血性大腸菌感染症の報告数の推移(2016年)
  • 総菜店で行われた立ち入り検査=群馬県高崎市
  • O157感染の女児が死亡した経緯
  • 問題の総菜店のチラシに掲載されていたポテトサラダ。キュウリが使われているが…
  • O157感染者が出たポテサラダの流通
  • 国内で起きた主なO157食中毒