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「無痛分べん」から「性感染症」まで扱う異色の「コウノドリ」 作者が30代後半で漫画家を志した理由とは?

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「無痛分べん」から「性感染症」まで扱う異色の「コウノドリ」 作者が30代後半で漫画家を志した理由とは?

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漫画「コウノドリ」の主人公、鴻鳥サクラ 1/4枚

 医者が主人公の漫画やドラマは数あれど、産科をテーマにした作品は珍しい。そんな中、産科医療の“現場”を描いた漫画「コウノドリ」の単行本が、累計発行部数400万部超のヒットを記録している。作者の鈴ノ木(すずのき)ユウさん(44)は、もともとミュージシャン。漫画家を本格的に志したのは30代後半という異色の経歴を持つ。鈴ノ木さんに、漫画家を目指したきっかけや、産科がテーマの漫画を描こうと思った理由などを聞いた。

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ドラマも人気 10月から続編スタート

 「コウノドリ」の主人公は、男性産科医でピアニストの鴻鳥(こうのとり)サクラ。出産を控えた女性やその家族、そして懸命に生きようとする子供たちの姿を丁寧に描いた作品だ。過酷な勤務環境のなか、サクラをはじめとした医師や助産師らが患者を助けようと奮闘する姿が胸を打つ。

 連載は2013年、週刊漫画誌「モーニング」でスタート。15年に綾野剛主演のドラマ版がTBS系で放送され、今年10月13日からは続編が始まる。

 テーマは「自然出産と帝王切開」「立ち会い出産」「無痛分べん」といった一般的なテーマから、「切迫流産」「子宮外妊娠」「無脳症」などといった事例まで幅広い。「人工中絶」「性感染症」などの話題も扱う。

 「出産の話はデリケートです。漫画では、不幸にも子供を亡くした女性も描かないといけない。10人が10人とも納得する話は描けませんが、なるべく人を傷つけずに、出産のことを身近に感じてもらえるような漫画を描くことを心がけています」

妻と息子にもらった「第2の人生」

 鈴ノ木さんが本格的に漫画家を志したのは、一般的にはかなり遅めといえる30代後半だったという。友人に漫画家がいてそのアシスタントを務めたり、30代前半のころには漫画の賞を取ったこともあった。ただ、音楽活動を重視し、漫画家になるつもりはなかった。

 「とはいえ、ラーメン店や牛丼店でアルバイトを掛け持ちしていました。実質的には無職でしたね」

 当時を苦笑いで振り返る。

 そんなとき、妻の怒りと、長男のある一言が、鈴ノ木さんの人生の転機になったという。

 「妻が仕事に行くときに、僕は『いってらっしゃい』と言って、ベッドの上でギターを弾いてたんですよ。で、妻が帰ってきたときも僕が同じ格好でギターを弾いていたら、『なめんなよ!』とブチ切れられまして…(笑)」

 当時保育園に通っていた長男のある行動も背中を押した。

 「お父さん、お仕事なに?」

 尋ねられて鈴ノ木さんが「アルバイトだよ」と答えると、忘れないためにか長男は「バイト、バイト、バイト!」と大声で連呼した。

 「何となく切なくなった」鈴ノ木さんが講談社の「モーニング」編集部に漫画原稿を持ち込んだことから、「漫画家人生」は本格始動した。

 「僕は妻と息子から『第2の人生』をもらったんじゃないかと思っています」

写真ギャラリー

  • 10月13日スタートのドラマ「コウノドリ」(TBS系)。主人公の鴻鳥サクラを綾野剛(中央)が演じる
  • 漫画「コウノドリ」作者の鈴ノ木ユウさん(本間英士撮影)
  • 単行本「コウノドリ」1巻の表紙(講談社)