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【広角レンズ】闘病テーマの漫画続々 がん、心の病…「人ごとではない」体験談に共感

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闘病テーマの漫画続々 がん、心の病…「人ごとではない」体験談に共感

広角レンズ更新
堀江良文堂書店松戸店で開催された闘病漫画フェア=千葉県松戸市 1/1枚

 がんや脳梗塞など「闘病」をテーマにした漫画が続々と出版されている。今年1月発売の『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(KADOKAWA)が30万部超えのヒットを記録するなど売れ行きも好調だ。背景には、漫画の特長である「読みやすさ」に加え、ストレスを感じやすい社会情勢や長時間労働などにより、病気が「人ごとではない」という共感がありそうだ。(本間英士)

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 『ふんばれ、がんばれ、ギランバレー!』(たむらあやこ)、『漫画家、パーキンソン病になる。』(島津郷子)、『33歳漫画家志望が脳梗塞になった話』(あやめゴン太)…。書店では近年、さまざまな種類の闘病漫画が並ぶ。

 「漫画家自身の体験を描いた作品は、確かに増えています。私も『こんなにあるんだ』と驚きました」。8月中旬まで、闘病漫画の特設コーナーを設けていた堀江良文堂書店松戸店(千葉県松戸市)の書店員、渡辺健(たけし)さんはこう語る。主な購買層は30~40代だが、10代の若者や高齢者など幅広い世代が購入したという。

「題材」心の支え

 「自分は元気と思っている人ほど油断しがち。誰もが突然病気になる可能性があることを、漫画を通じて心の片隅に置いてくれれば」。こう訴えるのは、漫画家の岡田有希さんだ。

 岡田さんは平成24年、33歳のときに体調不良で病院を訪ねたところ、子宮頸(けい)がんと診断された。手術で子宮を摘出し、約3カ月の闘病生活を送った。がんを告知されたときの心境や手術後のリハビリ、夫や長女ら家族と交わした会話…。これらを漫画で描いた『さよならしきゅう』が今月、講談社から発売された。

 これまで大病をしたことがなかったという岡田さん。「闘病は本当に苦しかったが、漫画の題材になると考えることが心の支えになった。明るく描くことを心がけたので、幅広い世代の方に気軽な気持ちで読んでもらえれば」と語った。

異例のヒット作

 闘病漫画として、異例のヒットを記録しているのが『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』だ。漫画家の田中圭一さんが鬱病を克服した自らの体験をまとめた作品が口コミなどで話題となり、発売からほぼ半年で30万部を突破した。

 10年ほど前、会社員と漫画家の二足のわらじをはいていた田中さんは、畑違いの分野への転職が引き金となり鬱病を発症。先の見えない苦しい状態を「うつトンネル」と表現し、一進一退を繰り返しながらもトンネルを抜けるまでの過程を描いた。またミュージシャンの大槻ケンヂさんら16人の闘病記も紹介している。