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「インスタ映え」になぜ奔走 共通する「情報共有」、「承認」欲求

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「インスタ映え」になぜ奔走 共通する「情報共有」、「承認」欲求

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ホテルニューオータニ大阪の「ナイトプール」。写真を撮りながら歓声を上げる女性たちであふれた =大阪市中央区(彦野公太朗撮影) 1/2枚

 「インスタ映え」という言葉をよく耳にする。会員制の写真共有サイト「インスタグラム」に投稿して見栄えするという意味だ。若い女性がインスタ映えする写真を求めて奔走する姿に、「理解できない」といった声も上がる一方で、「若者が特別ではなく、どの世代にも共通する欲求の表れ」という専門家の見方も。現代の「共有」にひそんだ心理とは…。(藤井沙織)

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 プールで写真

 暗がりで赤いライトを妖しく反射する水面。ポップな浮輪に揺れる女性たちは、常にスマートフォンを持って撮影に興じ、インスタに投稿している。

 8月下旬、ホテルニューオータニ大阪(大阪市中央区)の「ナイトプール」(入場料5千円)。会社員の女性(24)は「泳ぐより写真。インスタはフォロワーに見せるアルバム」と楽しげ。「投稿は自己満足。でも『いいね!』と共感されるとうれしい」という声もあった。

 4月にインスタグラム社が発表したインスタの月間アクティブ利用者数(1カ月に1度でも利用した人数)は、世界で7億人超。

 今や巨大メディアとなったインスタによる集客と宣伝を狙い、企業は商品やサービスを次々と開発。大阪新阪急ホテル(同市北区)はラウンジに若い女性を呼び込もうと、9月から口ひげ型のチョコレートをあしらったデザートの提供を始め、「ぜひ写真を撮って」(担当者)とPRする。

 同じ話へ同じ行動

 インスタ映えする被写体の要素は「イベントや絶景を楽しむ自分」や、「カラフルなスイーツなど、ビジュアルのいいもの」。インスタに載せるため、遠方まで出かける若者もいる。

 インスタ過熱の背景について、「人間の持つ『情報共有欲求』がある」と分析するのは、近畿大総合社会学部の清島秀樹教授(現代文化論)。「人間は楽しい出来事を話したくなり、同じ話を楽しむために同じ行動をとる。50年前の学生がこぞってマルクスを読んだのと同じ」と主張する。

 明治大文学部の諸富祥彦(もろとみ・よしひこ)教授(臨床心理学)は「熱中している人にとっては作品。作品のために出かけて、人に見せるのは、俳句などと同じ」とする一方で、「認めてもらいたいという承認欲求を満たそうと、『いいね!』をもらうことに振り回されているケースもある」と指摘する。

写真ギャラリー

  • グラスの中にリンゴのムースなどが入った大阪新阪急ホテルのデザート