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【書評】詩人、中原かおりが読む『続 ざんねんないきもの事典』今泉忠明監修 50万部の続編

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詩人、中原かおりが読む『続 ざんねんないきもの事典』今泉忠明監修 50万部の続編

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『続ざんねんないきもの事典』今泉忠明監修(高橋書店・900円+税) 1/1枚

 ■1人で、家族で、抱腹絶倒

 「ざんねん」と言うならば、一番進化していると驕(おご)っていたり、年中争ってばかりいる人間が一番残念な生き物なのかもしれない。この本の生き物への「ざんねん」は、動物学者である監修者の愛情深い視線が前提だ。だから生き物たちは本の中で沈黙などしていない。いきいきと実に魅力的である。

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 昨年発刊されて既に50万部販売されている『ざんねんないきもの事典』の続編が本書である。子供から大人まで幅広い層を対象に、読む人の口元を思わず緩ませ、知的好奇心を全開にさせてくれる。

 知名度のあるなしにかかわらず、多種多様な生き物122種が、それぞれイラストや生息地・大きさなどのプロフィルとともに紹介され、どこが「ざんねん」なのかという特徴が解説されており、そのコメントも秀逸だ。

 ラッコが貝を割るための石はお気に入りのものなので、うっかり無くしてしまうと食事も喉(のど)を通らなくなる。鼻でしか呼吸をしない動物、特に首が長くて四足歩行のキリンは鼻がつまらないように長い舌を使って鼻くそをほじる。チンパンジーは自分より強い相手には愛想笑いをし、ニワトリは鳴く順番を強いものに譲る…など、次々と事例があげられ、一冊がまるまる宝の山だ。

 読者はきっと紙の上だけに留(とど)まらず、その生き物が発散する匂いや声、感触も想像できるだろう。図鑑・インターネット、動物園・博物館で調べてみたくなるかもしれない。人間から「ざんねん」と言われながらも一生懸命に大自然の中で生き延びている生き物の生態を、さらに詳しく、さらにリアルに。

 みんなそれぞれに個性があり、たとえちょっとトホホと思えるものであっても、それを理解しよう認めようとしたり、いとおしいと思ったりする気持ち、そんな前向きな姿勢が連鎖するといいと思う。また、テレビやゲームを消して、親子で一冊を共有する歓(よろこ)びが生まれればいい。

 ただ、寝る前の読み聞かせはおすすめしない。気持ちが高ぶって眠れなくなるに違いないから。子供も大人もね。(高橋書店・900円+税)

 評・中原かおり(詩人)