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【話題の本】硬派な室町本、またも大ヒット 『観応の擾乱 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い』

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硬派な室町本、またも大ヒット 『観応の擾乱 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い』

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書影『観応の擾乱』 1/1枚

 タイトルは、かんのうのじょうらん、と読む。室町幕府草創期、征夷大将軍である足利尊氏と、政務の大半を担っていた弟の直義の対立を軸に起きた内乱である。

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 高校日本史の履修者でも記憶している人は少ない事件がテーマの本書、しかし現在6万8000部と硬派歴史書としては異例のヒットとなっている。同じ中公新書刊の40万部ベストセラー『応仁の乱』を追走する快調ぶりだ。

 知名度こそ低いが、観応元(1350)年に起きたこの戦乱の歴史的な影響はなかなか大きい。昭和48年生まれの国立台湾大学助理教授である著者は、鎌倉幕府を踏襲していた体制が変化し、恩賞分配方式など室町幕府特有の制度が生み出された「有意義な試練」と位置づける。勝敗が何度も入れ替わる複雑な展開を、いくつもの新解釈を示しながらクリアかつ丁寧に整理した叙述は見事だ。

 担当の上林達也氏によると、7月下旬に初版1万8000部でスタートし、発売翌日に3万部の増刷が決まった。「発売前からツイッターなどで歴史ファンの間に話題が拡散していたことが大きかった」という。『応仁の乱』に続く、ネットに親和的な新世代の中世史家による快作だ。(亀田俊和著/中公新書・860円+税)

 磨井慎吾