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蔵王山は「ざおうさん」か「ざおうざん」か 山形市民は濁音に不快感、市議会に請願

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蔵王山は「ざおうさん」か「ざおうざん」か 山形市民は濁音に不快感、市議会に請願

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 豊富な湯量を誇る温泉に国内有数の規模を誇るスキー場を持つ蔵王山。その呼称をめぐり「『ざおうざん』ではなく、『ざおうさん』」にしてほしい」という請願が開会中の山形市議会6月定例会に提案された。テレビのニュースなどで「ざおうざん」と「山」を濁音で呼ばれるたびに「不快、違和感」を感じる市民が多いためだ。山形市民が昔から呼んできた「ざおうさん」。一体、どちらが正しいのか。(柏崎幸三)

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 山形と宮城にまたがる「蔵王山」は1つの山の固有の名称ではなく、不忘山、熊野岳、刈田岳など蔵王連峰の総称。その地名は大正元年、国土地理院の5万分の1の地形図に初めて登場。読み仮名が明記されず、同院は昭和6年、地元市町村と協議して「ざおうざん」に決めた。

 だが、昔から「ざおうさん」と呼んでいた山形市民は違和感を覚えた。佐久間昌夫さん(72)は「頂上の蔵王権現さまに畏敬の念を込め、『ざおうさん』と呼んできた」と話す。

 市立蔵王第二中や蔵王第三小など市内8校の校歌にも「ざおうさん」と歌われている。蔵王温泉PTA協会の斉藤慎爾会長(50)も「昔から『ざおうさん』と呼び、心情的にも深いものがある」という。

 ところが、蔵王山に噴火警報が発表された平成27年以降、ニュースで「ざおうざん」と呼ばれ、「違和感がある」(佐久間さん)という市民は少なくない。

 今回、市議会に「蔵王山を『ざおうさん』に変更するよう」求める請願は2通提出。その一人で蔵王温泉観光協会の伊藤八右衛門さん(68)は「やはり、『ざおうざん』には、多くの市民、県民にとって違和感がある」と話す。

 「山形県民のみならず、宮城県民も『ざおうさん』と呼ぶ人が多い。地名辞典や百科事典でも『ざおうさん』と使われている」ことが請願の理由だ。もう一人の請願者である佐久間さんも、蔵王が連峰であることなどを理由に名称変更を求めている。

 戦前に「いおうとう」と呼んでいた硫黄島が戦後、「いおうじま」に変わったことに対し、東京都小笠原村が「『いおうとう』に戻してほしい」と申請し、「いおうとう」に戻った例もある。

 国土地理院は、地元自治体から地名呼称の変更を求める声は受け入れるとしており、今回の請願の行方が注目される。