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【フード 食・名店】南国酒家 “酢豚にパイナップル”元祖の店 日本人の嗜好に合わせて

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南国酒家 “酢豚にパイナップル”元祖の店 日本人の嗜好に合わせて

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パイナップルやリンゴが入った「ハーブ豚の広東風酢豚」。肉と野菜・果物がバランスよく調和し、絶妙なおいしさだ 1/3枚

 日本で酢豚にパイナップルを入れた初めての店として知られる「南国酒家(なんごくしゅか)」(東京都渋谷区)。「日本の気候風土に合った中国料理の提供」という創業以来の理念のもと、常に新しい味に挑戦し、世界の人に愛される「日本の中国料理」の魅力を発信し続けている。(平沢裕子)

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広東料理アレンジ

 創業は昭和36年、東京都渋谷区桜丘にできた高級マンション「渋谷コープ」の一角に、「国際都市・香港の夜」がコンセプトのレストランバーとしてオープン。広東料理の一流コックが腕をふるう「日本人の嗜好(しこう)に合う中国料理」はたちまち評判となり、毎日行列ができる人気店となった。

 「食は広州にあり」の言葉でも知られる広東料理は、北京、上海、四川と並ぶ中国料理の四大系統の一つ。中国料理の中では淡泊といわれる広東料理だが、それでも当時の日本人には油が強くなじみがなかった。日本人に合うように食材や調理法を工夫したことで多くの人の舌を満足させたようだ。

 「初代社長は香港の人で、目指したのが『東洋人(日本人)のための中国料理』。中国料理の伝統に縛られず、創意工夫をして、日本人にとっておいしい中国料理を作りたいという夢を形にしたのがこの店だったのです」

 平成22年から5代目社長を務める宮田順次さん(49)はこう説明した。

酢豚にパイン

 4年後に、現在は原宿本店がある東京・原宿駅前にできた高級マンション「コープオリンピア」に2号店を出店。そのころから提供しているのがパイナップル入りの酢豚だ。昭和39年の東京五輪競技場となった代々木公園には五輪開催前まで米軍宿舎があり、同公園に近い原宿は米軍の家族向けの店が多くアメリカ文化発信の街だった。そんな街にふさわしい酢豚にしようと、当時は高級品のパイナップルを入れたという。同様に、生食が一般的なレタスをチャーハンに混ぜたのも同店が最初とされる。

 同店のシンボルでもある酢豚を料理長の黄海昭彦さん(57)に作ってもらった。パイナップルは季節ごとに最もおいしい品種を厳選、5月から7月初旬にかけては沖縄・西表島産のピーチパインを使っている。メイン食材の豚肉は「甘酢が絡んだときの食感が命。衣の付け方や揚げ方を工夫しています」と黄海さん。

 まず豚肉、次いでパイナップルを食べてみた。豚肉は外側がカリッとして中はジューシーな理想的な食感、パイナップルのさっぱりとした上品な甘酸っぱさが料理を引き立てる。うま味や酸味、甘みのバランスも絶妙だ。

地域食材を活用

 「日本には、おいしい食材がまだたくさんあるはず。それを取り込んで、もっとおいしい料理を提供できるようにしよう」

写真ギャラリー

  • 酢豚を作る料理長の黄海昭彦さん