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「サピエンス全史」ユヴァル・ノア・ハラリ氏 「虚構の力」を超えるために

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「サピエンス全史」ユヴァル・ノア・ハラリ氏 「虚構の力」を超えるために

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 現生人類ホモ・サピエンスはなぜ、たった数万年で並みいる競合種を圧倒し、文明を発展させ地球の支配者となったのか。このシンプルかつ巨大な謎に、歴史学はもとより生物学や認知科学などの最新知見を動員して挑んだ野心的人類史『サピエンス全史』(上下巻、柴田裕之訳、河出書房新社)が話題になっている。来日した著者のイスラエル人歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリ氏(40)は、人類に飛躍をもたらした鍵について「虚構を信じる力」だと説く。

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 同書は2014年に英語版が刊行され、いまや約40カ国で翻訳出版されている世界的ベストセラー。

 よく似たジャンルの本としては、ヨーロッパ人が世界制覇できた理由を生物学的・地理的要因から過去1万年ほどさかのぼって分析した米国の生物学者、ジャレド・ダイアモンド氏の文明論『銃・病原菌・鉄』が有名だが、本書のスケールはより壮大だ。人類史の決定的転換点を、約7万年前に人類の脳内で発生した「認知革命」に求める。この革命の結果、人類は神話など虚構の事物を想像し、仲間に語ることができるようになった。人類は共通の神話を信じることで初めて大勢の赤の他人と柔軟に協力することが可能になり、単なる動物の群れを超えた巨大な集団を組織できるようになったとハラリ氏は説く。

 宗教、国家、法律、企業、貨幣-。現代文明を動かすこれらの概念も、7万年前の神話と同じくすべて実体としては存在しない虚構の創作物だが、みなが信じることで複雑で高度な社会を営むことができる。ただ、文明の発展で個々の人間が幸福になったかは、また別の問題だという。「現代人は2万年前の人とは比較にならないほど多くの力を得た。だが幸福感という観点からは、必ずしも2万年前よりも幸福になっているといえない」

 たとえば農耕社会は多くの人口を養うことを可能にしたが、一人一人の生活は従来の狩猟採集社会よりもずっと厳しかったと本書は指摘する。現代文明を手放しで礼賛しているわけではない。そうしたクールで俯瞰(ふかん)的な視点から、約1万年前の農耕革命をきっかけに帝国や貨幣が生まれた経緯や、約500年前の科学革命が資本主義や帝国主義を両輪として人類の力を飛躍的に増大させ、ばらばらだった世界各地域を一体化させていく過程を、鮮やかに描き出す。

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