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【原発避難者集団訴訟】前橋地裁、国と東電の責任認める 3855万円賠償命令 集団訴訟で初の判決

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前橋地裁、国と東電の責任認める 3855万円賠償命令 集団訴訟で初の判決

原発避難者集団訴訟更新
福島第1原発事故避難者の集団訴訟で国と東京電力の過失が認められ、前橋地裁前で垂れ幕を掲げる原告側弁護士ら=17日午後 2/2枚

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 東京電力福島第1原発事故の影響で福島県から群馬県に避難した45世帯137人が国と東電に計約15億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、前橋地裁であり、原道子裁判長は「巨大津波の到来は予見可能で、対策をすれば事故は回避できた」として、国と東電の責任を認め、計3855万円の賠償を命じた。

 全国で起こされている28の同種集団訴訟で初の判決。原告数は計1万2千人以上に及び、今後の各地裁の判断が注目される。

 (1)東電と国は津波を予見し事故を回避できたか(2)国は東電に安全対策を取らせる権限があったか(3)国の指針に基づく東電の賠償は妥当か-が主な争点だった。

 原裁判長は、平成14年7月、政府の地震調査研究推進本部が「マグニチュード8クラスの津波地震が30年以内に20%程度の確率で発生する」とする長期評価を公表したことから、「東電はこの数カ月後には、津波を予見することが可能だった」と指摘。「非常用電源の高所設置などの対策を取れば事故は発生しなかった」とした。

 また、国は東電に対策を取るよう命じる規制権限があり、「19年8月頃に規制権限を行使していれば、事故を防ぐことは可能だった」と、国の対応を違法と判断した。

 原告には避難指示区域外から避難した自主避難者61人も含まれ、区域にかかわらず慰謝料として1人当たり一律1100万円の賠償を請求。判決はこのうち自主避難者43人を含む原告62人について、1人当たり7万~350万円の賠償を認めた。

 また、「東電は経済的合理性を安全性に優先させたと評されてもやむを得ないような対応を取った」などと指摘。こうした非難に値する事実は、慰謝料増額の要素になるとした。

【用語解説】予見可能性

 危険な事態や被害が発生する可能性を事前に認識できたかどうかということ。危険を予測できたのに、安全配慮義務を怠って重大な結果を招いた場合、過失を問われることがある。東日本大震災の津波をめぐっては、宮城県石巻市立大川小の児童23人の遺族が、市と県に損害賠償を求めた訴訟で、仙台地裁が「教職員は津波が大川小に襲来すると予見していた」と予見可能性を認め、計約14億2600万円を支払うよう命じた。

写真ギャラリー

  • 公開された東京電力福島第1原子力発電所1号機と2号機(右)の建屋=13日、福島県大熊町(桐山弘太撮影)