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【ダッカ人質テロ】鉄道コンサル、誠実な仕事 田中宏さん

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鉄道コンサル、誠実な仕事 田中宏さん

ダッカ人質テロ更新

 「兄は7人きょうだいの長男。温厚な人柄で尊敬していた。5月に兄の80歳を親族で祝った際、『バングラデシュのために働きたい』と意欲を見せていた。本当に無念だったと思う」

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 田中宏さん(80)=横浜市鶴見区=の弟、隆さん(72)は3日、田中さんの自宅前で報道陣の取材に応じ、言葉を詰まらせながらこう話した。

 この日、田中さんの自宅には、かつて勤務していた旧国鉄(現JR)時代の同僚や親族が弔問に訪れた。一様に沈痛な表情を浮かべ、技術一筋に生きた田中さんの悲報を悼んだ。

 旧国鉄の同期で、元同僚3人とともに訪れた東京都の中島啓雄さん(78)は「50年来の友人。仕事を誠実にやる人だった」と沈鬱な表情で話した。

 隆さんや元同僚らによると、田中さんは旧国鉄の鉄道技術研究所の元技術者で、退職後は交通技術関連のコンサルタント事務所を鶴見区内に設立。自治体への助言や講演活動などを積極的に行ってきた。また日本技術士会の会員を務め、同会が主催する小学生を対象とした工作教室なども開催していたという。

 田中さんは国際協力機構(JICA)のバングラデシュ開発事業を受託した建設コンサルタント会社「オリエンタルコンサルタンツグローバル」(東京都渋谷区)の業務に関連し、6月に同国へ向かった。隆さんによると、同国への出張は初めてだったという。

 「犯人たちに対し、まだ何かを言える気持ちにはならない」。隆さんはそう話し、政府専用機が待つ羽田空港に向かった。

 鉄道技術研究所の元同僚で千葉市の田中真一さん(82)は「経験豊富な彼なら、バングラデシュに良いアドバイスができたろうに」と声を落とした。