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iPSで腎臓病を再現 熊本大など治療薬開発に応用も

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iPSで腎臓病を再現 熊本大など治療薬開発に応用も

 熊本大発生医学研究所などの研究チームが、腎臓病の一つ「先天性ネフローゼ症候群」の患者の細胞から作製した人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って、初期病態を再現することに成功したと、発表した。この病は生後3カ月以内に発症し、悪化すれば腎不全をもたらす。チームは有効な治療薬を探し出せる可能性があると期待している。成果は、8月30日付で、米科学誌「ステム・セル・リポーツ」電子版に掲載された。

 研究では、患者のiPS細胞を使って腎臓組織を作製し、病気のメカニズムを探った。この結果、腎臓が老廃物をろ過する際、タンパク質が尿に出るのを防ぐ膜の異常を再現した。さらに遺伝子を効率的に改変できるゲノム編集技術を使い、原因遺伝子の異常を修復すると、機能が正常化することも確認した。

 研究チームによると、これまで培養細胞やマウスを用いた同症候群の研究があったが、ろ過膜を人工的に再現する方法がなかったという。チームを率いる熊本大発生医学研究所の西中村隆一教授は「病気の解明と薬剤の開発につなげたい」と話している。

 腎臓病は日本でも患者数が多く、機能悪化で人工透析が必要な患者は約32万5千人に上る。

 先天性ネフローゼ症候群は、ろ過の部位異常により血液中のタンパク質が尿中に漏れ出てしまう病気で、国内の推定患者数は100人弱という。

 研究には熊本大のほか、順天堂大や広島大、琉球大も参加した。西中村教授のグループはこれまでに、ヒトのiPS細胞から腎臓組織を試験管内で作製することに成功するなどしている。