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【想う 8年目の被災地】9月 「届けたい」語りで、写真で

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【想う 8年目の被災地】
9月 「届けたい」語りで、写真で

花が咲いたよ(佐藤美香さん提供) 花が咲いたよ(佐藤美香さん提供)

 「一番優しく笑っているから」

 珠莉さんは語る。

 白い花の写真。愛梨ちゃんが亡くなった場所に一輪咲いた花が、今年も咲いた。美香さんが優しくそっと、手で包み込む。

 黒こげの上履き。愛梨ちゃんの遺品だ。今年、震災伝承館「南浜つなぐ館」に寄贈する前日に自宅で撮影した。

 「小さなころは見せないようにしていた」

 美香さんは言う。姉が「助けて、助けて」と声を上げていたときにすぐ側にあったもの。それでも珠莉さんは見たいと言った。

 「お姉ちゃんも他の子も、熱かっただろうな」

 そうつぶやく。

 語りで、写真で。親子は震災と、愛梨ちゃんの生きた証しを伝え続けてきた。

 「愛梨が生きていたらどうだったか、日々考えています。愛梨がいなくなった世界で、私自身の人生も変わりました」

 そして少し言葉に詰まったあと、続けた。

 「被災地が移ろいでいる」

 大阪北部地震、西日本豪雨、台風21号、そして、北海道で震度7を観測した地震…。今年だけでも、多くの災害が被災地を生んだ。

 「被災地という言葉を聞いてどこを連想するかはそれぞれになっています。東日本大震災が過去のものになってきていると感じることもある。7年半という月日、そういうことなのかもしれません」

 でも、という。

 「当事者は決して忘れることはありません。愛梨の命を無駄にしたくないのです。震災の話を知ってもらって災害時に生かしてほしい。届けたいのです」(塔野岡剛)

                   ◇

 さとう・みか 熊本県出身。語り部のほか、愛梨ちゃんの発見現場で咲いた花を通じて防災を呼びかける「アイリンブループロジェクト」の副代表を務める。

                   ◇

 さとう・じゅり 小学5年生。プロジェクトの応援隊長として宮城県七ケ浜町で写真展を開催した。

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