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リカジョ賞GPに「横浜すぱいす」理事の古川さん 子供に理科の楽しさを

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リカジョ賞GPに「横浜すぱいす」理事の古川さん 子供に理科の楽しさを

「理科に興味や関心をもってもらうことが大切」と説く「横浜すぱいす」理事の古川三千代さん=横浜市 「理科に興味や関心をもってもらうことが大切」と説く「横浜すぱいす」理事の古川三千代さん=横浜市

 女子児童・生徒の理科への興味や関心を高め、未来の社会をリードする女性の育成につなげる教育を実践した個人や団体に贈られる第1回「日産財団リカジョ賞」のグランプリに、教育現場などを支援する「横浜すぱいす」(横浜市瀬谷区)の理事、古川三千代さん(68)=同市港北区=が輝いた。リカジョは「理科女子」という意味の造語。古川さんは「大切なのは成績ではなく、子供に理科の楽しさを伝えること。この受賞を機に、取り組みの輪が広がってほしい」と喜びの言葉を口にした。(王美慧)

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 古川さんは、市内で主に小学5、6年生を対象に「ロボットプログラミング教室」を実施している。教室では、児童がそれぞれプログラミングを行い、ロボットを指示通り動かす。

 ◆興味持つきっかけに

 パソコン画面に英語のテキスト(命令文)を入力する方法ではなく、「10歩動かす」や「30度回す」などと書かれた定型文の“ブロック”をマウスを使って組み立てていく初心者用の学習ソフトを使用している。古川さんは「難しいことを教えて、成績を上げることが目的ではない」と語る。

 また、「プログラミングの楽しさを伝えて、理科に興味を持つきっかけを作ること。分かる喜びを知った子供たちは自ら学び出す」と指摘する。

 コンピューターに仕事を指示するプログラミングは、平成32年度から全国の小学校で必修化される。

 文部科学省は、プログラミング教育を子供が論理的な思考力を育む教育の一つと位置づけている一方で、教育現場では指導者の育成やカリキュラムづくりなどが新たな課題となっている。

 ◆需要高まるIT技術

 市立中学校の教員・校長を務め、現場の多忙さを目の当たりにしてきた古川さんは「教員の負担や新しいことに対する苦手意識を少しでも減らせれば」と考えた。「子供たちや先生たちのために、外部機関にプログラミングのような指導は任せ、学校はそれを活用すればいいのでは」と、約2年前に自ら活動を始めた。

 プログラミングの知識は校長時代にはなかったが、独学で学んだ。「専門ではなかったからこそ、何がおもしろいのか教えることができた」という。

 経済産業省はIT関連産業に携わる人材は、32年に約29万人、42年には約59万人不足すると試算している。日本が国際的な産業競争力を維持するためにも、次世代を担う子供たちのIT技能は不可欠だ。

 同財団の志賀俊之理事長は「全国の大学で機械工学分野の女子の卒業生はわずか」という現状を知り、「女子児童・生徒の興味や関心を高め、ITや人工知能(AI)など新技術を支える人材の育成につなげたい」と考え、同賞を創設した。

 ◆女子の裾野を広げ

 古川さんが子供たちにプログラミングを教える背景には、「女の子も理科好きでいいと伝えたい」という思いがある。「親や周りの大人が子供に“女の子らしさ”を意識して、理数系に対して苦手意識を芽生えさせてしまう現状があると思う。虫やITが好きという思いを認めてあげることで、リカジョの裾野が広がり、リケジョ(理系女子)の育成につながる」と強調する。

 古川さんは「AIやロボットにはできない、発想力や思考力が求められるのは確実。高度にIT化された社会で、子供たちには論理的思考や判断力、挑戦する力、人と協力する力を身につけてほしい」といい、「体験した子供たちは必ず『プログラミングは楽しい』と思うという事実を、大人には知ってほしい」と語った。

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【プロフィル】ふるかわ・みちよ

 昭和25年1月生まれ。新潟県上越市出身。東京理科大学卒。横浜市立中学校で理科の教員を経て、平成19年から7年間、市立都岡中の校長を務めた。