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「琵琶湖システム」を世界のモデルに 「農業遺産」国内1次審査通過

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「琵琶湖システム」を世界のモデルに 「農業遺産」国内1次審査通過

 国連食糧農業機関(FAO)が世界的に重要で伝統的な農林水産業を営む地域(システム)を認定する「世界農業遺産」と、その国内版「日本農業遺産」(農林水産大臣認定)への認定を目指して県が申請している「森・里・湖(うみ)に育まれる漁業と農業が織りなす琵琶湖システム」が今月、国内1次審査を通過した。県は「琵琶湖を取り巻く農水産業は世界のモデルケースになる」と自信を見せており、今後の専門家による現地調査や2次審査の行方を注視している。

 琵琶湖一帯では、エリと呼ばれる囲いを使う漁法が古くから盛んで、資源保護のためエリの設置制限なども行われてきた。沿岸の水田は、ニゴロブナなどの湖魚が産卵する「ゆりかご」にもなり、多様な湖魚はふなずしに代表される独特の食文化も生んだ。水源林保全なども積極的に行われ、持続的な環境づくりへの取り組みが続く。

 世界農業遺産には、国内ではこれまで11地域が認定されている。このうち、平成23年に認定された石川県能登地域では、独自のコメのブランドを立ち上げるなど、新たな付加価値が生まれるケースも多い。

 県内でも、自治体や農林水産業関係者からは「観光客が増え、地域経済の好転が期待できる」「環境保全意識がさらに高まる」などと、早くも認定後に期待する声が上がる。

 一方、苦労の末に念願の“お墨付き”を得ながら、その後、思ったような効果が上がっていない地域もある。さらには、現在認定されている21カ国52地域のうち、約7割が日本を含むアジアに集中しており、国内地域が認定されるハードルが高くなっているという事情もある。

 今回1次審査を突破したのは9地域で、琵琶湖のほか「兵庫美方地域の但馬牛システム」「愛媛・南予の柑橘(かんきつ)農業システム」など。県は「内水面漁業では水産資源の減少や資質の悪化がつきまとう。持続可能な琵琶湖システムを世界的なモデルとして提示したい」と意欲を見せている。