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静岡県営新球場、建設へ前進 浜松市議会が要望書提出

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静岡県営新球場、建設へ前進 浜松市議会が要望書提出

 遠州灘海浜公園篠原地区(浜松市西区)に津波避難施設を兼ねた県営野球場を整備する構想をめぐり、市議会の飯田末夫議長が28日、県庁を訪れ、川勝平太知事に同地区への球場建設と基本計画の早期策定を求める要望書を議長名で提出した。市議会の足並みがほぼそろったことで、停滞していた新球場建設が大きく前進することとなった。(石原颯)

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 提出後、飯田議長は「東日本大震災の後、津波の危険がある地域とみられていたが、防潮堤が完成してきて、安心感が生まれ、市民の気持ちが変わってきた」と経緯を川勝知事に説明。川勝知事は基本的に歓迎としながらも「たった一つの団体だけが足を引っ張ってきた」とこれまでの市議会の対応を痛烈に批判。同地区は高さ13メートルの防潮堤の建設が進んでいるエリアで、「18回も会合をして(津波が)越波したときにどうするかという話はしたのか」など飯田議長を再三にわたり追及。川勝知事は「命のための球場だ」と新球場は防潮堤と一体となった防災施設であることを改めて強調した。

 ◆知事が苦言

 対談後に川勝知事は記者団に「中身のない議論を繰り返していたことがわかった。この2年間、足を引っ張るようにしか見えない市議会の動きはいまだに釈然としない」と苦言を呈した。

 同地区への新球場建設をめぐっては県議会、市議会を二分する激論が展開されてきた。浜松市内に新球場を建設する計画は長く検討されてきたが、平成28年1月に市水泳場近くに新球場を建設する案を川勝知事が発表。県は災害時には避難施設として活用できる新球場を整備する基本構想を打ち出した。

 しかし、海辺の同地区は風が強くプレーに影響が出るなど野球場整備に疑問の声が上がったうえ、防災施設を兼ねた野球場については、県議会と浜松市議会が「県民や市民の合意ができていない。県と浜松市との調整ができていない」などとして、28年度当初予算への関連経費の計上を見送った経緯がある。

 川勝知事は「浜松市議会が予算案の修正案を可決したのは、県予算の減額が理由の一つになっている。一方で県が予算を減額する修正案を通した理由の一つが、市がまとまっていないということ。お互いに相手のせいにして予算を通していない」と分析した。

 知事の主張する避難所としての機能についても「津波に向かって走る人はいない」などの批判が集まり、昨年6月の知事選の争点にまで発展した。

 市議会は調査特別委員会を立ち上げ、騒音や強風など県の建設計画を検証。昨年12月に「対策を施せば建設は可能」と結論を出し、市議会は3月に用地取得に向けた調査費2700万円を盛り込んだ平成30年度予算案を可決した。

 ◆議論に決着

 ただ、川勝知事は、市議会が調査費の計上を認めてもなお、同地区での球場建設の合意には至っていないとし、明確な意思表示を求めていたことから、それに応じる形で議長名で同地区での新球場建設の要望書を提出することを今月16日に決定。約2年にわたる議論に決着がついた。

 この日は市議会に続き鈴木康友市長も新球場建設に向けた関連予算の計上を求める要望書を提出。川勝知事と市議会の間に遺恨は依然残っているが、足並みがそろったことで新球場建設へ前進することになった。

 要望書の提出を受けて川勝知事は同日夕に建設予定地となっている同地区を視察。川勝知事は「地元の理解が得られた。これまでの遅れを挽回したい」と早期建設に意欲を示した。