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九州の農業高校、金足農の甲子園健闘に勇気「覚悟決めれば上にいける」

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九州の農業高校、金足農の甲子園健闘に勇気「覚悟決めれば上にいける」

 「覚悟を決めれば上にいける」。甲子園での金足農(秋田)の快進撃に、九州にある農業高校の生徒も沸いた。同じ農業を学ぶ仲間として応援し、ひたむきなプレーに大きな刺激を受けていた。 (高瀬真由子、中村雅和)

 「金足農の試合はずっと見てきた。同じ農業高校が甲子園で活躍してくれたのは誇りだ」。福岡農業高校(福岡県太宰府市)の野球部主将、広瀬翔大さん(17)は21日の決勝戦を自宅で観戦した。

 プレーに影響を受けた部員は多い。2年の堀之内颯大さん(17)は、金足農が決勝進出を決めた20日の日誌にこう書いた。

 「自分たちとの差は、スイング量やご飯の量。同じ農業高校でここまでいけるなら、覚悟を決めてやっていけば、絶対に上にいける。嫌なことから逃げず、1試合でも長くできるチームになりたい」

 農業高校の生徒は、野菜栽培や畜産などの実習が多い。部活動に参加できない日もある。さらに農業の衰退や少子化の影響で、学校数は減少傾向だ。文部科学省によると、全国の農業系高校の生徒は8万1千人で、高校生全体の2・5%に過ぎない。

 福農野球部1年の杉原悠太さん(15)は「条件は金足農も同じ。限られた時間で集中して練習していることを見習いたい」と語った。井上英忠監督(45)も「頑張ればできることを示してくれた金足農は、農業高校の星だ」と語った。

 高鍋農業高校(宮崎県高鍋町)の野球部員は、決勝戦を校内のテレビで観戦した。

 西皇摩(こうま)主将(17)は「先生から『実習で練習時間がとれない農業高校生でも、甲子園であれだけ良いプレーができる。君たちにだって、やれるはずだ』といわれた。その言葉で、金足農を意識するようになった」と振り返った。

 戸高太尊(たいそん)監督(22)は「金足農はとにかくバントがうまい。人のため、チームのためという意識が徹底されている。自分を犠牲にし、誰かを支える姿勢は、常に農作物や生き物と向き合っている農業高校生らしい姿だ」と分析した。

 金足農は準優勝に終わったが、高鍋農の野球部員はテレビ越しに、大きな拍手を送った。西主将は「大きな自信をもらった。自分たちも夏の甲子園に出場できるよう、精いっぱい練習する」と力強く語った。

 福岡市中央区にある北東北の物産館「みちのく夢プラザ」では、福岡県内に住む秋田県出身者らが、テレビ中継を見て、金足農ナインを応援した。

 福岡・秋田県人会の会員ら約60人が集まった。秋田県にかほ市出身の矢ケ部ひとみさん(61)は「離れて暮らす秋田の人と一致団結して応援できた。秋田の誇りです」と語った。

 県人会の中村靖会長(72)は、103年前の大会で決勝に進出した秋田高(旧制秋田中)を卒業した。「ひたむきな秋田の県民性が出ていた。よく頑張った。長生きしてよかった」と目に涙を浮かべた。