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亡き人しのび、声響かせ 土庄島伝統の「夜念仏」 香川

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亡き人しのび、声響かせ 土庄島伝統の「夜念仏」 香川

 香川県土庄町に伝わる盆の先祖供養行事「夜念仏(よねんぶつ)」が13日夜、町内4カ所で行われ、白衣姿や遍路装束の人らが、地域の家庭を訪れて亡き人をしのんで供養の念仏を唱えた。

 夜念仏は、盆の夜に集団で家々をめぐって念仏を唱える「夜行念仏」とも呼ばれる民間信仰のひとつ。江戸期に始まり昭和初期までは各地で行われていたが、今では珍しくなった。

 同町では「よねぶっつぁん」と親しみを持って呼ばれ、肥土山地区では小豆島霊場46番札所・多聞寺の檀家(だんか)らの呼びかけで昭和62年に「肥土山夜念仏連中」(佐伯武志代表)が復活した。

 一行6人は午後8時から、白い布で頭を覆い、白木綿の着物に晒(さらし)の帯、白の手甲や脚絆(きゃはん)を着けて菅笠(すげがさ)をかぶり、帯には鉦(かね)を取り付けた板をはさみ、「チーン、チーン」と音を響かせながら夜道を進んだ。

 同地区では今年6月までの1年間に亡くなった「新仏」のある家を巡るのが習わし。今年は13人(女性7人、男性6人)の新仏があり、一行は仏間に面した庭で哀愁を帯びた独特の節回しで女性の新仏には「十九夜」を、男性なら「善光寺」を唱えていた。

 昨年9月、母の三木和美さんを84歳で亡くした高岸敏美さん(54)は一行が「東に向かって母恋し-」などと唱える十九夜の一節に耳を傾けながら、「怒らない優しい人で孫たちに慕われていた。気持ちが落ち着く良い風習なので続けていってほしい」と話していた。