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キリマンジャロでギター弾き語り 登頂体験を自費出版 明石の藤本さん、28年越しの夢かなえる

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キリマンジャロでギター弾き語り 登頂体験を自費出版 明石の藤本さん、28年越しの夢かなえる

 昨年2月にアフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ(5895メートル)山頂でギターの弾き語りに挑戦した明石市の土地家屋調査士、藤本明生さん(53)が過酷な登山の体験をつづった書籍を自費出版した。20代の頃にもキリマンジャロ登山に挑戦したが、遭難などで登頂を断念した経験があり、28年越しで夢をかなえた。藤本さんは「子供たちに挑戦することのすばらしさを伝えたい」と話す。 藤本さんは明石高専在学時にギターを始めた。20歳の頃に県出身の冒険家・植村直己さんの映画を見て生き方に感動し、「世界7大陸でギターの弾き語りに挑戦する」という目標を持った。海外に一人旅に出掛けては行く先々で自作の曲を披露した。

 順調に各大陸をめぐり、昭和63年には4番目の大陸となったアフリカのタンザニアで出会った韓国人登山者と意気投合してキリマンジャロの登山に同行した。「世界で一番高い所でギターの弾き語りをする」という当時のギネス記録に挑戦するはずだったが、高山病になり山頂まであと600メートルの地点で遭難。現地の救助隊に救助された。「何も準備せずに甘くみていた」と振り返る。

 「あと1年で命が終わるとしたら、やり残したことは」。キリマンジャロ登山への再挑戦は50歳の頃に友人が問いかけたこの言葉がきっかけだった。

 再挑戦する日をそれから1年後の平成29年2月に決めると、神戸市の山岳会に入り富士山などで年間50日の登山に挑戦。体重を10キロ減らし、ジムに通って筋肉を強化した。大阪市の施設で標高6400メートルと同じ低酸素の訓練を受けたり、製氷工場のマイナス20度の冷凍庫でギターを弾いたりする練習もした。

 登山本番では17時間歩き続けるなど過酷な状況で頭痛や酸欠がひどくなった。何度も断念しそうになったが、「体力、気力の限界を感じた頃に朝日が昇り、自然と涙がこぼれた。力がわいてきた」という。

 頂上で持参したギターを取り出すも、寒さで指先が動かなかった。「ギターは弾けなくても叩けばいいと考えた。オリジナルソングを思い切り歌った」と語る。32年2月には南極大陸でギターの弾き語りに挑戦する予定だ。

 体験をつづった著書「アフリカキリマンジャロでギター弾き語り」は写真やイラストを多用し、子供でも分かりやすい内容にした。明石市内の全小中学校と高校などに寄贈している。

 藤本さんは「子供の頃はいじめられっ子でよく家にひきこもっていた。そんな自分が多くの人の影響を受けて挑戦することのすばらしさを知った。本を読んだ子供たちが一歩を踏み出すきっかけになれば」と話した。