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千葉大「飛び入学」導入20年 多くの研究者輩出、着実に成果

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千葉大「飛び入学」導入20年 多くの研究者輩出、着実に成果

 千葉大が平成10年度に高校に2年以上在籍した生徒の入学を認める「飛び入学」制度を導入して今年で20年が経過した。既に71人が卒業し、9割近くが国内外の大学院に進学するなど、多くの研究者を生み出す成果を上げる一方で、近年は受験生の数が伸び悩んでおり、より魅力的なカリキュラムづくりが課題となっている。(永田岳彦)

 ◆「大きなプラスだった」

 「受験勉強で1年間を使う間に、最先端の研究をしている先生から指導を受けることができ、海外留学制度も充実していた。大きなプラスだった」。飛び入学で26年4月に入学した工学部4年の坂梨昂平さん(21)はこう語る。

 名古屋市の私立高校に通っていた坂梨さんは、好きな分野を集中的に学び、研究しようと飛び入学制度を利用し、高校2年修了後の17歳で入学。あまり得意でなかったという英語も2度の海外研修と、1年間の海外大への専門留学で、苦手意識はなくなったという。

 千葉大の飛び入学制度は入学金の免除や無料の海外研修、少人数の専門セミナーなど多くの特典がある。坂梨さんは現在スマートフォンなどのCPU(中央演算処理装置)の半導体を構成する新物質の研究をしており、大学院に進んだ上で「今の研究を継続していきたい」と目を輝かせる。

 「飛び入学していなければ今ごろ研究職にはなっていなかったでしょう」。こう話すのは先進科学センターの特任助教を務める日沼洋陽さん(36)だ。

 東京都内の私立高校から12年に工学部に飛び入学で入学。大学も3年で修了し、進学した米国の大学院で博士号を取った。29年から母校の千葉大で教員を務める。

 千葉大が工学部と理学部の一部で飛び入学制度を導入したのは10年度。現在は工学、理学、園芸、文学の4学部に対象が広がり、30年度入試では千葉大のほか京都大や会津大など計7大学が募集を行った。

 ◆志願者数伸び悩む

 ただ、少子化の影響もあり志願者数は近年伸び悩んでおり、千葉大の30年度入試で飛び入学を志願した受験生は13人で合格者は2人。ここ数年は志願者数が10人前後にとどまっている。

 高橋徹先進科学センター長は「頭の柔らかい時期にあらゆることを吸収できるメリットは非常に大きい」と話す一方、「高校の先生からは『OB・OGの活躍が分からないのでもっと知らせてほしい』という声も多く聞く」と飛び入学のメリットが十分に周知されていない現実を課題に挙げる。

 千葉大は32年度入試から、プログラミングが得意な高校生向けの飛び入学制度を工学部に新設する予定で、学生がより魅力的と感じられるカリキュラムづくりにも力を入れていく方針だ。

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【用語解説】飛び入学

 高校に2年以上在学し、特に優れた資質を持つ生徒に高校を卒業しなくても大学への入学を認める制度。学校教育法は大学入学には原則高校卒業資格が必要と定めているが、平成9年に同法の施行規則が改正され、国内の大学でも飛び入学が可能になった。30年度入試で飛び入学の学生を募集したのは千葉大、京都大、東京芸術大、会津大、日本体育大、名城大、エリザベト音楽大の計7大学。