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2020年東京五輪に向け「クルーズ船ホテル」、横浜・川崎で準備着々

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2020年東京五輪に向け「クルーズ船ホテル」、横浜・川崎で準備着々

 ■旅行会社期待「新たな観光需要を創出」

 2020年東京五輪・パラリンピックの開催時に急増が予想される首都圏の観光客を受け入れるため、豪華設備を備えたクルーズ船を宿泊施設として長期停泊させる「ホテルシップ」が導入される。横浜や川崎など4港で準備が進む。政府は五輪で実績を残すことで、宿泊施設が少ない地方都市での大規模イベントにも活用できると期待している。

 横浜港の山下ふ頭には、五輪開幕前日の平成32(2020)年7月23日から最終日の8月9日まで大型クルーズ船「サン・プリンセス」が停泊する。

 ◆劇場やプールも

 1011の客室と劇場やプール、スポーツコートがあり、期間中に延べ3万6千人の利用を見込む。料金は2泊3日のパックで1人7万~60万円台。31年春以降にJTBが予約を受け付ける。

 同社は「クルーズ船を楽しんでもらい、新たな観光需要を創出したい」と期待する。

 東京港では、スイスに本社を置く船会社が992室を備える客船「MSCリリカ」を停泊させる予定だ。東京都の幹部は「東京港を世界にPRする千載一遇のチャンス。五輪後のクルーズ船誘致につなげたい」と意気込む。

 川崎や木更津(千葉県)両港でも実現に向け、川崎市や千葉県が周辺自治体や船会社と協議を始めている。ホテルシップ導入で障害になっていたのが旅館業法などの規制や、長期間の停泊を受け入れる港湾設備の不足だ。

 ◆規制を緩和

 旅館業法では、衛生上の観点から窓のない客室は設置できない。政府は今年5月、大規模イベント期間中のホテルシップに限り、自治体の判断で窓のない客室の利用を許可できると通知した。窓のない客室を全体の4割以下とし、換気や照明の設備を備えることを条件とした。

 入管難民法に関する法務省令は改正し、外国人乗組員が寄港先で上陸できる日数を最長7日から15日に延ばす。申請により、さらなる延長も認める方針だ。

 ホテルシップを受け入れるための施設整備では、自治体や事業者向けのガイドラインを来年3月までに作成する。

 クルーズ船とつなぐ上下水道や、乗客を送迎する駐車場などで標準的な施設の目安を提示。五輪の経験を生かし、さらに内容を充実させる考えだ。

 ◆横浜博覧会でも

 国土交通省によると、五輪のホテルシップ活用は2010年バンクーバーと12年ロンドンで3隻ずつ、14年ソチで4隻、16年リオデジャネイロが2隻だった。日本でも1989(平成元)年の横浜博覧会で、英国の「クイーン・エリザベス2」が水上ホテルとして横浜港に停泊した。

 地方では大規模な国際会議やイベントを誘致する際、宿泊施設の不足がネックになるケースもある。国交省の担当者は「東京五輪でノウハウを蓄積し、事業者や自治体のホテルシップ活用を後押ししたい」と話している。

 横浜博覧会 平成元年に横浜市の横浜みなとみらい21地区で、市制100周年と横浜港開港130周年を記念して開催された博覧会。バブル期にあった「地方博ブーム」での代表例。開催期間は3月25日から10月1日。入場者数は1333万7150人。