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学校にエアコン、予算の壁 公立小中の設置率12・5% 静岡

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学校にエアコン、予算の壁 公立小中の設置率12・5% 静岡

 連日猛暑が続く中、県内の公立小中学校のエアコン設置率は12・5%で、寒冷地を除くと全国最下位である実態が明らかになった。公立高校も46・9%にとどまり、全国平均(49・6%)を下回っている。川勝平太知事は24日の定例会見で「小中学校の教室に冷房装置は必要だという認識は持っている」と述べた。ただ、設置実現には膨大な予算がかかるため思うように進んでいないのが現状だ。

 ◆寒冷地並み

 文部科学省が3年に一度実施する「公立学校施設の空調設備設置状況調査」によると、平成29年4月現在の本県公立小中学校のエアコン設置率は普通教室で7・9%(全国平均49・6%)。特別教室を合わせても12・5%と全国平均の41・7%を大きく下回る。全国ワースト7位にランキングされ、本県より低いのは北海道▽青森県▽岩手県▽宮城県▽秋田県▽長野県-といずれも寒冷地が並ぶ。

 公立小中学校のエアコン整備は市町が行うため、財政力や自治体規模による格差は大きい。例えば、夏休みの短縮を検討している吉田町は、小中学校が4校しかないとはいえ、昨年、全教室にエアコンを設置して猛暑の中での学習環境を整えた。

 一方で、学校数が多い政令指定都市では、費用がかさむため整備が進んでいない。静岡市の公立小中学校の普通教室のうちエアコンがあるのはたった14室で、設置率は0・8%。浜松市は9・7%だが、設置済みの学校はいずれも航空自衛隊浜松基地に近く、防音対策で窓が開けられないための措置だという。

 ◆必要性認識も…

 静岡市の田辺信宏市長は20日の定例会見で「施設の耐震化を優先したので、限られた財源の中でこうなってしまった」と釈明した。今後は「この酷暑は子供が集中して勉学できる環境ではないと認識しているが、隣の学校にエアコンがあってうちにはないというわけにはいかない」と、未設置の126校1821室分を一気に整備する方針。予算総額は70億円を見込んでおり「できるだけ圧縮したい」(市教委)と今年度から学校施設整備への民間活力導入(PFI)の可能性を探る調査を始めた。

 これまで小中学校では扇風機で暑さをしのいできたという浜松市も、32年夏までに公立小中学校の全普通教室にエアコンを設置する方針を打ち出した。こちらも2037教室が対象で、総額50億円と膨大な投資になるためPFIも視野に入れつつ具体的な手法を検討している。

 ◆苦慮する県教委

 エアコン設置率は公立高校になると46・9%まで上昇し全国平均(49・6%)との差は縮まる。ただ、県教委によると「公立高校の普通教室のエアコンの大半はPTAや同窓会の資金で設置されたもの」という。

 県教委としては体調管理が苦手な児童生徒が多く通う特別支援学校と、温度管理が欠かせないパソコン室や理科室といった特別教室を優先的に整備しており、31年度までに特別支援学校の全普通教室にエアコンをつけようと2年間で8億円の予算を確保した。高校の普通教室へのエアコン導入はその後になるという。

 愛知県豊田市で今月17日、小学1年の児童が熱中症で死亡する事例が発生し、事故を未然に防ぐためにもエアコン設置の声は高い。県教委の担当者は「保護者や学校関係者から要望は数多く受けている。ぜひ設置したいのだが、予算の裏付けがないことには」と頭を悩ませている。