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岸田日出男が生前所蔵、ニホンオオカミの頭骨?展示 貴重な資料を奈良・大淀町で展示

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岸田日出男が生前所蔵、ニホンオオカミの頭骨?展示 貴重な資料を奈良・大淀町で展示

 上北山村で死んだニホンオオカミとみられる動物の頭骨が、大淀町文化会館で開催中のミニ企画展「吉野学への誘い-岸田日出男の遺(のこ)したもの-」で展示されている。大正~昭和時代に吉野・熊野地域の自然保護運動に尽力した吉野郡役所の林業技師、岸田日出男の所蔵資料から見つかったもので、同町教育委員会は「吉野郡で唯一のニホンオオカミの手がかりとして貴重だ」としている。ミニ企画展は8月6日まで。

 動物の頭骨は、岸田の遺族が自宅のある同町に寄贈した資料に含まれており、長さ約21センチ。頭骨と一緒に箱に入っていた長男の覚書には「(上北山村の)天が瀬の人が自宅の庭へ、小便を飲みに来た狼(おおかみ)を殺して保管していたのがこの頭蓋骨である」と記されている。

 また、岸田の著作「日本狼物語」には、明治13年に上北山村の民家近くに現れたオオカミが猟銃で撃ち殺され、残っていた骨片を昭和11年にもらい受けたとする記述がある。

 町教委はこれらの資料から、昭和11年5月に岸田が上北山村の住民から譲り受けた頭骨と断定。「複数の研究者による鑑定の結果、ニホンオオカミの可能性が高い」とし、今後詳しく調査することも検討しているという。

 町教委は大淀町ゆかりの偉人、岸田日出男を多くの人に知ってもらおうとミニ企画展を開催。遺族から寄贈された資料の中から、「ニホンオオカミの頭骨」や吉野郡役所時代の森林手帳など約30点を展示している。

 このうち、「吉野群山と熊野」「吉野熊野の風景」(ともに昭和13年度版)は吉野・熊野地域の“観光ガイド”といえる資料。大和山岳会の事務局を務めていた岸田が編集に関わった「山嶽」(大正11年)、吉野熊野国立公園指定を記念して発刊した「吉野群山」(昭和11年)などの著作も並ぶ。

 町教委の松田度(わたる)学芸員は「これまで目に触れなかった資料を通じ、岸田日出男について知っていただきたい」と話している。

 問い合わせは町文化会館(電)0747・54・2110。