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【高校野球群馬大会】前橋育英、逆転サヨナラV

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【高校野球群馬大会】
前橋育英、逆転サヨナラV

 第100回全国高校野球選手権県大会は25日、上毛新聞敷島球場(前橋市敷島町)で決勝が行われ、前橋育英が高崎健康福祉大高崎(健大高崎)にサヨナラ勝ちし、3年連続4回目となる夏の甲子園大会出場を決めた。

 3年連続の同一カードとなった決勝で、前橋育英は序盤に守備が乱れ、3点を先制された。小池、久保の適時打で2点を奪い返したものの、六回に点差を広げられ、苦しい展開となった。

 流れが変わったのは八回。代打・石田の適時二塁打などで3点を挙げ、同点に持ち込んだ。九回裏、1死一塁の場面で梅沢が適時二塁打。劇的なサヨナラ勝ちを収めた。

 前々回と前回の決勝で敗れ、雪辱に燃える健大高崎は前橋育英のエース恩田に果敢に挑むも、打ち崩せず、今回も涙をのんだ。

 全国大会は8月2日に抽選会が行われ、5日に兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕する。

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 ▽決勝

 【上毛新聞敷島球場】

 健大高崎 300 002 000 -5

 前橋育英 100 100 031x-6

(健)吉田、久保田、藤原-大柿

(前)恩田-小池

 ▽二塁打=嶋本、高山(健)、小池2、石田、梅沢(前)

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 ■前橋育英ナイン チーム力で勝利

 「まじめで素直。例年以上に勝たせてやりたいと思った」。そう語る前橋育英の荒井直樹監督の指導に、選手は応えた。エース恩田を中心に守備でリズムを作り、打撃陣も勝負どころで確実に得点。チーム力で甲子園の切符をつかんだ。

 最高球速145キロを誇る恩田は、荒井監督からも「恩田でやられたらしようがないと思える」と絶大の信頼を寄せられ、決勝のマウンドに立った。

 本人が「調子が悪かった」という通り球速はそこまで出なかったが、自慢の制球力で内角を攻め、健大高崎の強力打線を被安打6の5失点に抑えた。「投球はスピードじゃないということがきょう判明した」と興奮気味に振り返った。

 打線も試合を重ねるごとに良くなった。八回、1死二、三塁の場面では「ここぞのときは出そうと思っていた」(荒井監督)という代打・石田が適時二塁打を決めた。荒井監督は「高めの球を打ってくれた」と活躍に目を細めた。

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 ■厳しい試合で得た力、甲子園での発揮期待 前橋市長が激励メッセージ

 前橋育英が3年連続4回目となる夏の甲子園出場を決めた25日、前橋市の山本龍市長は「県代表としての威風堂々とした姿を誇らしく思います」とコメントを発表。

 「ライバルたちとの厳しい試合を通じて得た力を甲子園で発揮されることを期待しています」とチームを激励した。

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 ■前橋育英3年・恩田慧吾投手 不動のエース「楽しんで投げたい」

 「3点なら余裕で取り返せる」

 初回から健大高崎打線に四死球を与え、3失点したが、焦りはなかった。仲間への信頼が投球を支えた。

 勝たなければいけない理由があった。中学1年の夏にテレビで見た甲子園大会。初出場で全国の頂点に立った前橋育英に憧れ、「この学校で甲子園へ行きたい」と心に決めたのだ。

 だが、入学してみると、強豪校のレベルの高さに打ちのめされた。自身は軟式出身で体形も小柄。初めての試合にも、少ししか出られなかった。

 それでも野球を続けてきた原動力は「エースになりたい」という強い思いだ。ウエートトレーニングを重ね、3年間で体重は15キロも増えた。球速もめきめきと上がり、不動のエースに成長した。

 チームは八回裏で同点に追いついたが、九回表、2死満塁のピンチに。マウンドに仲間が集まり、「育英の守備力を見せてやれ」と互いに励まし合った。思い切り振りかぶって投げた球は、中堅・久保のグラブに吸い込まれ、アウト。健大高崎打線を封じた。

 昨夏は、甲子園で活躍する上級生をスタンドから「自分もあそこで投げたい」と唇をかみしめながら応援していた。

 最後の夏に、ようやく手にした夢舞台への切符。「楽しんで投げたい」と目を輝かせた。

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 ■健大高崎3年・高山遼太郎選手 元プロ選手の父を「超えたい」

 六回、先頭打者の大越が内野ゴロで打ち取られると、「自分が塁に出る」と強気の姿勢で打席に入った。ライトへ二塁打をたたき出すと、打線に火が付き、この回に2得点。3点差に引き離した。

 父、健一さんは平成元年の夏の甲子園に東農大二の選手として出場。プロ野球の広島東洋カープや西武ライオンズ(当時)で活躍し、現在は広島でスカウトマンをしている。

 父の影響で、3歳から遊びで野球をやっていた。

 「小さい時はお父さんみたいになりたいと思っていたが、いつしかお父さんを超えたいと思うようになった」

 健一さんは規定で高校生に野球を教えることはできない。自身もアドバイスを一切受けられなかった。「悔いがないように、思い切ってやってこい」とだけ言われ、夏大会に臨んだ。

 決勝は八回に同点に追いつかれ、九回にサヨナラ負け。「さすが、育英は夏に仕上げてくると感じた」と唇をかみ、「社会人野球に進み、プロを目指したい」と新たな目標を見据える。

 単身赴任中の健一さんはこの日、球場に駆けつけ、バックネット裏から応援していた。見守ってくれた父に、「これまでありがとう。これからも野球を続けて、お父さんを超えるから見ててねと言いたいです」とあふれる涙をぬぐった。

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 ■監督・主将談話

 ○前橋育英・荒井直樹監督「毎日の積み重ねが力になっていると思う。選手たちはあきらめずによく頑張った。投手を中心に守るという武器を大いに使って甲子園で暴れてきたい」

 ○前橋育英・北原翔主将「最後まで良く戦えた。今年は一人一人が支え合い、全員でチームを作り上げてきた。(甲子園では)群馬の他の学校の分も背負ってやっていきたい」

 ●健大高崎・青柳博文監督「課題はいかに失点を少なくするかだったが、投手陣が粘り切れなかった。甲子園に出してあげたいと思う良いチームだったが、非常に残念」

 ●健大高崎・大柿廉太郎主将「負けるとは思っていなかった。サヨナラ負けという展開となり、自分の力不足を感じた。後輩たちには来年夏の甲子園に行ってもらいたい」