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【拓け信州2018知事選】(上)現実味増す「人口200万人割れ」

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【拓け信州2018知事選】
(上)現実味増す「人口200万人割れ」

 ■行政サービス維持、抜本策急務

 人口減少社会にあって、県人口の「200万人割れ」が現実味を帯びており、その余波は、県内市町村のあり方にも直結する。県政の眼前に横たわる最重要課題だといってよい。

 ◆幅広い人材を議会に

 今年5月、飯綱町で開かれた「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」の研修会。喬木村の下岡幸文議長は「議会の活動が住民に分かりやすいようにする必要がある」と訴えた。町村議会の「なり手不足」は深刻の度を増している。飯綱町など県内の地方議会関係者は、神妙な表情で聞き入った。

 同村は昨年12月定例会から、議事や日程の大半を夜間・休日に開催している。同6月の村議選で8年ぶりに無投票となり、「なり手不足」対策の検討に本格着手。兼業を前提に、議員の性別や職業が偏らないよう、配慮した結果だ。

 議員の高齢化対策という一面もある。現在、定数12のうち、60代以上が9人を占める。今回の試みで、若い現役世代が議会運営に携わる状況ができれば、議会の活性化にも資するとの狙いがある。

 議会が全会一致で制度の導入に同意したのも、「それほど人口減少が深刻な問題となっている」(議会事務局)ことと裏腹だ。

 下岡氏は「人口減少が進む一方、新しい時代に向かっていくには、多様な人材が必要だ」と指摘する。今年9月の定例会後に、過去1年間の実施状況を検証し、見直し項目があれば、取り入れる考えだ。

 ◆実情に合った改革を

 「なり手不足」問題は、喬木村のみならず、県内の市町村議会、特に町村議会に共通する課題だ。民意に耳を傾け、行政に反映する。首長の監視機関…。求められる議会の役割を十分に果たせなくなっては、「自治」のあり方に影を落とす。

 今年実施された7市村議選のうち、選挙戦となったのは上田市と山形村だけだ。伊那市など4市村議選では、定数と同数の立候補者しか出ないため無投票となり、小谷村議選は定数割れが生じた。

 総務省の研究会が取りまとめた政策提言には、現行の議会制度に加え、少数の専業議員と有権者が参加する「集中専門型」と、多数の非専業議員が夜間・休日を中心に運営する「多数参画型」が示された。

 飯綱町議会の寺島渉前議長は今年5月、松本市で開かれた「町村議会改革シンポジウム」で、この案について「地方分権の流れに逆行する」と疑問を投げかけた。

 地域の実情にあわせた議会をどう作り出すのか。その道筋をつける取り組みは、一筋縄には行かない。

 ◆独自に連携自立圏構想

 人口減少問題は、行政のあり方も揺さぶる。住民の生活と暮らしをどう守るのか。自治体で広域連携を進め、基礎自治体として果すべき行政サービスを維持しなくてはならない。

 総務省は、自治体間の協力のあり方として、「定住自立圏構想」や「連携中枢都市圏構想」を提唱している。

 もっとも、仮に「定住自立圏構想」で定める「中心市」を軸にした施策を進めても、行政サービスをきちんと担保できるのか、疑問視する向きがある。「中心市」の人口は「5万人程度以上」とされているほか、長野の県域は広大なため、有効打になり得ないとの見方は強い。

 県は、独自の取り組みとして、「中心市」が不在の地域でも域内の自治体が連携協約を結び、行政サービスを維持する「連携自立圏構想」を唱え、平成28年に大北地域5市町村で「北アルプス連携自立圏」が発足した。県が独自に財政支援する施策が特徴だ。

 同自立圏は今年度、若者の出会いの機会を増やす交流・結婚支援や移住促進といった広域観光など8分野・19事業を実施している。

 自治体の枠を超えた広域行政は、生き残りに向けた試みであり、同自立圏構想の成否は、人口減少の危機に直面する自治体の行方を占う。だが、抜本的な対策だとは到底、言えない。自治体の役割を維持するために、実効性のある政策の執行が問われている。

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 県政のかじ取り役を決める知事選が告示され、現職の阿部守一氏(57)と、新人の金井忠一氏(68)による舌戦は、激しさを増している。「信州を拓(ひら)く」ために克服すべき課題を探った。