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【甲信越ある記】佐渡・旅館「伊藤屋」 昭和初期に改装、「和」に浸る

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【甲信越ある記】
佐渡・旅館「伊藤屋」 昭和初期に改装、「和」に浸る

 佐渡島。日本有数の金の産地として栄えた島であり、流刑になった人たちの悲哀が刻まれた島でもある。連綿と受け継がれる歴史、融合するさまざまな文化。人々と島をつなぎ続ける旅館「伊藤屋」を訪れた。

 新潟県に赴任してから2回目となる佐渡への出張。1週間という長丁場の取材で、どこに宿泊しようかと迷っていたとき、先輩記者から勧められた。

 相川と小木の中間地点にある伊藤屋のある場所は、古くから交通の要衝として栄えた。伊藤屋は明治初期の開業から、100年あまり続く老舗旅館で、昭和50年代に新町大神宮で大相撲巡業が行われた際は力士らも宿泊したという。

 同5年の改装から今も使われている本館は、外観を見ただけでも「和」の雰囲気を感じさせるたたずまい。フロント横にある畳敷きの「○(えん)の間」は、古物や昔懐かしい玩具が陳列されているレトロな交流スペースになっている。廊下のいたるところに、地元の民芸品や古い掛け軸などが飾られており、ちょっとした博物館の中にいるような気分になる。

 現在の番頭は5代目となる伊藤善行さん(43)。フォトグラファーとしても活動しており、さまざまなコンテストで賞を受賞している。旅館のホームページ(HP)のブログでは、佐渡の魅力を発信しており、自身が撮影した島の美しい風景を収めた写真集(1500円)も販売している。

 「佐渡はさまざまな文化が融合した多様性が魅力の島。今後も佐渡での良い出会いをつなぐ役割になりたい」と語る伊藤さん。その笑顔から、写真に賭ける情熱と、生まれ育った地元への愛がひしひしと伝わってくる。

 出張先での仕事を終えた後、伊藤屋自慢の「佐渡海洋深層水」を利用した風呂につかる。ミネラルたっぷりの湯が疲れた体を隅々まで癒やしてくれる。「やっぱり、日本人といえばお風呂だ」と改めて感じた。

 「次に佐渡に来るときは、絶対プライベートで来よう」。湯船の中で心に誓った。(太田泰)

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 ◆「ご縁の宿 伊藤屋」 佐渡市真野新町278番。両津港から県道45号で約30分、小木港からは国道350号で約30分。大人数で利用できる宴会場があるほか、1人用の宿泊プランも用意されている。問い合わせは同館(電)0259・55・2019。