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江戸末期の回船問屋、結んだ縁 青森・江渡さん資料集 県と丸亀市に

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江戸末期の回船問屋、結んだ縁 青森・江渡さん資料集 県と丸亀市に

 香川県土庄町の石の研究から江戸末期の瀬戸内と東北地方の北前船交易に興味を広げ、丸亀市広島の当時の回船問屋、橘屋(尾上吉五郎)に残る文書を解読・整理して「讃州塩飽橘屋廻船資料集」として自費出版した青森県野辺地町の自営業、江渡正樹さん(73)が19日、香川県庁を訪れて同書を寄贈した。

 江渡さんは野辺地町の公園にある石が土庄町産の花崗岩(かこうがん)だと解明。さらに野辺地港の常夜灯の石材が丸亀市広島の「青木石」であったことから推測を広げ、野辺地の豪商、野村治三郎と並んで「橘屋吉五郎」と刻まれた人物が、同市の金比羅街道にある中府大鳥居に治三郎とともに刻まれた「尾上吉五郎」と同一人物であることを突き止めた。

 資料集はA4判、708ページで、解読した文書は「松寿丸勘定帳」、尾上吉五郎と記された「当座帳」、橘屋吉五郎とある「諸方音進帳」など天保3(1832)年から慶応4(1868)年までの帳簿類(幅約12センチ、長さ33~39センチ、厚さ2~3センチ)の8冊。

 松寿丸勘定帳は、天保11年~嘉永4(1851)年の11年間に大阪から津軽、南部・野辺地を往復する船に積んだ商品や途中の港で売り買いした商品の仕入れ値や諸経費、利益、船頭らの賃金が記され、回船業の経営を知ることができる。

 諸方音進帳には、天保10年4月に野辺地で起こった火事の見舞いに金銭や茶碗(ちゃわん)に加えて肥前(現・佐賀県)の米が届けられ、婚礼や還暦の祝い、困窮する取引先への援助などが、事情や理由とともに品物や数量、金額が書き留められており、世相や商人の交流が垣間見られる。

 県庁で江渡さんは「江戸後期、野辺地と香川県は北前船を通して深くつながっていた。今後ともよろしく」と手渡し、受け取った徳大寺祥宏総務部長は「意外な形で両県の関係が知れてうれしい」と感謝した。

 同書は縁の丸亀市にも寄贈され、梶正治市長は「これだけの資料をまとめるのは大変、有効に活用します」として感謝状を贈呈した。