産経ニュース

土用の丑の日 浦和のウナギ老舗、悩める夏 稚魚不漁で高騰、値上げか据え置きか…

地方 地方

記事詳細

更新


土用の丑の日 浦和のウナギ老舗、悩める夏 稚魚不漁で高騰、値上げか据え置きか…

 20日は「土用の丑(うし)の日」だが、今年は“異変”が起きている。ウナギの稚魚の不漁による高騰を背景に、ウナギのかば焼き発祥の地とされる浦和の老舗店は、やむなく値上げに踏み切る店がある一方、価格を据え置いた店もあり、「苦渋の夏」となっている。

 「今年3月、値上げしたが、それでも赤字。値上げ後は客足が遠のいたが、土用の丑の日が近づくにつれて戻りつつある」。浦和のウナギ専門店の職人はこう打ち明ける。実際、19日昼も猛暑続きの毎日に活力を取り戻そうという客であふれていた。

 ウナギ料理店12軒でつくる協同組合「浦和のうなぎを育てる会」。協組の大森好治代表理事は「いくつかの店は3月に平均300~500円ほど値上げした」と話す。うな重にのせるウナギの量を減らすなどの対応策もあるが、大森氏は「どの店も質や味は下げたくないし、作り方も変えたくない」といい、値上げは苦渋の選択だったと理解を示す。

 一方、赤字覚悟で価格を据え置いた店の関係者は「ウナギは家族3人で食べたら1万円を超える高いものなので、値上げは我慢できる限り我慢した」と漏らす。

 ただ、値上げはウナギ離れに拍車をかけてしまう懸念もあることから、協組は不漁による高騰対策として一括して仕入れる方向を目指している。大森氏は「問屋を通さないので安く仕入れられる」といい、原材料費の圧縮につなげたい考えだ。

 ウナギのかば焼きで浦和が有名になったルーツは江戸時代に遡(さかのぼ)る。協組などによると、沼地の多かった浦和でとれたウナギのかば焼きを、中山道を通る旅人らに振る舞っていたという記録が残っている。その後、都市化の流れに伴い、ウナギがとれなくなった後も、伝統のかば焼きの味は伝わっている。

 20日の「土用の丑の日」を控え、大森氏は「『浦和のウナギ』は伝統の食文化。これからも守り続け、多くの人に食べてもらいたい」と話す。(川上響)