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【高校野球静岡大会】藤枝東・片山翼主将 難病と向き合い努力重ねる

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【高校野球静岡大会】
藤枝東・片山翼主将 難病と向き合い努力重ねる

 5点を追う九回。「チームのために何とか次につなげたい」。「8番・左翼」で先発し、ここまで3打席凡退。主将としての意地をにじませた。的を絞った直球が5球目に来た。167センチ、63キロの体に渾身の力を込めてバットを振ったが、二ゴロ。唇をかんだ。続く柴原が出塁したものの、1番・岩堀が凡退し、最後の夏は終わった。

 難病と付き合いながらの高校生活だった。「小腸クローン病」。慢性の炎症性疾患で、子供の頃から度々腹痛に襲われていた。当初は胃腸炎と診断されたが、高校入学直後に聞いたことのない病名を告げられた。完治は難しく、医者からは「野球は厳しいからやめた方がいい」と宣告された。

 それでも憧れの野球を諦めることはできなかった。心配する家族に「無理はしない」と約束。脂質制限で大好きな肉類が食べられず、うどんなどに栄養剤を混ぜながら体力を養った。

 通院や猛烈な腹痛で練習を休むことはあったが、仲間に励まされながら、打撃中心の練習に汗を流した。努力する姿を垣間見てきた大石泰広監督は2年秋に主将に指名した。「苦しい状況でも弱みを見せず、高みを目指していた」とうなずいた。

 まだ夢は終わっていない。自らの病気もあるのだろう。内科医を目指すという。「患者の気持ちに寄り添える医者になりたい」と力を込める。野球で培った苦境にもくじけない心で次の舞台を見据える。 (吉沢智美)