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【汗にまみれて 100回目の夏】(4)岩槻商 負傷エースの思い胸に躍動誓う

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【汗にまみれて 100回目の夏】
(4)岩槻商 負傷エースの思い胸に躍動誓う

松葉杖をつきながらも練習を見守る3年の長嶋豪投手=6月29日、さいたま市(竹之内秀介撮影) 松葉杖をつきながらも練習を見守る3年の長嶋豪投手=6月29日、さいたま市(竹之内秀介撮影)

 「練習を手伝わせてください」。岩槻商野球部(さいたま市)の3年でエースの長嶋豪投手(18)は6月下旬、思い詰めた表情で千田祐平監督(34)に直訴した。松葉づえに支えられながらの長嶋投手の訴えに、千田監督は即答できなかった。

 長嶋投手は直訴の数日前、練習試合で走塁中に足首を捻挫し、夏の県大会出場は絶望的になった。負傷者をグラウンドに出していいのか。とはいえ、部員は12人しかおらず、1人でも欠ければ練習は難しい-。千田監督は思い悩んだ。

 春の県大会で初戦敗退の岩槻商。登板した長嶋投手は敗戦の衝撃を引きずり、不調に陥った。そんな長嶋投手に千田監督はアドバイスをした。「自分を出して投げてみろ」。言葉通り腕を思い切り振って投げ込むと、かつての調子を取り戻し始めた。チーム全体の調子も上向きになり始めた。そんな矢先の大黒柱の負傷だった。

 自身のけがで「最後の夏」にマウンドに立てない悔しさ。長嶋投手にとって直訴は野球部への恩返しだった。千田監督から練習参加を認められた長嶋投手はこう話す。「代わりに投手を務めることになった部員に、自分の知りうる限りの投球技術を伝えたい」。理由はもう一つある。小学生から続けてきた大好きな野球をどんな形でも、最後の一瞬まで、部員とともに汗を流し、グラウンドにいたい-という思いが背中を押した。

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