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九州豪雨1年 雨の被災地 「くじけたら叱られる」「心に穴」 集落ごと犠牲者追悼

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九州豪雨1年 雨の被災地 「くじけたら叱られる」「心に穴」 集落ごと犠牲者追悼

九州北部豪雨から1年となり、法要で遺影に話し掛ける女性=5日午前、福岡県朝倉市の石詰集落 九州北部豪雨から1年となり、法要で遺影に話し掛ける女性=5日午前、福岡県朝倉市の石詰集落

 「何があっても守ってやる」と言っていたのに-。5日、福岡県朝倉市が主催する九州北部豪雨の追悼式で、家族3人を失った渕上洋さん(66)は声を詰まらせた。1年前に記録的豪雨に襲われた被災地はこの日、雨が降り続いた。悲しみの癒えない住民や遺族は、集落ごとに集まり、犠牲者を悼んだ。

 1年前、渕上さんが帰宅すると、自宅は流木と土砂で押しつぶされていた。妻の麗子さん=当時(63)=と、臨月だった長女、江藤由香理さん=同(26)、1歳の孫、友哉ちゃんは亡くなった。

 渕上さんは約400人の参列者を前に「くじけたら娘に叱られそう。頑張らなきゃ」と気丈に話した。

 5人が犠牲になった山間部の石詰集落では、倉庫内で法要が営まれた。「1年前もこんな雨の降り方だった」。兄の小嶋茂則さん=当時(70)=ら親族3人を亡くした同市の森山恒彦さん(62)は言葉少なだった。

 井上輝雄さん=当時(89)、マサ子さん=同(82)=の夫婦も亡くなった。次男、洋一さん(58)=福岡市城南区=は「20年近くここで過ごしたが、家はなく両親もいない。ぽっかりと心の中に穴が開いているようだ」と寂しさを募らせた。

 更地も目立つ各集落では、花やおはぎを供えたりし、犠牲者を追悼した。住民からは「悲しみは当時のまま」「畑などが土砂に埋まったままで、皆が戻って生活することはできない」などの声が聞かれた。

 3人が犠牲になった福岡県東峰村では、犠牲者が所属していた合唱団が追悼式で東日本大震災の復興ソング「花は咲く」などを披露。会場ではすすり泣く人もいた。