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【汗にまみれて 100回目の夏】(2)独協埼玉 春の“屈辱”バネに団結力強化

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【汗にまみれて 100回目の夏】
(2)独協埼玉 春の“屈辱”バネに団結力強化

 その瞬間、目の前が真っ暗になった。4月12日、越谷市民球場。「どったま」の愛称で知られる独協埼玉は、今春の高校野球県大会東部地区で初戦敗退。しかも有力校、春日部東に1-11の七回コールド負けだった。「力の差を痛感した」。相手打線に打ち込まれた先発で3年の右腕、金井勇弥投手(17)は今も「屈辱」を鮮明に覚えている。

 木暮大樹監督(35)は「甘い球を見逃してくれなかった」と完敗を認めつつも「あの敗戦で選手たちの一球に対するこだわりが変わった」という。

 金井投手は春以降、練習試合で自分の投球を両親に撮影してもらい、試合後に必ずフォームなどを確認するようになった。速球が持ち味の3年、堺太一投手(17)も「全力で投げきりたい」と気合を入れ、練習を重ねる。独協埼玉は金井、堺両投手に箭内勇太投手(17)を加えた3本柱で、ともに右腕の3年生トリオだ。3年の高安黎主将(18)は投手陣について「それぞれエース級だ」と太鼓判を押す。

 何よりもチームの団結力が春の敗戦を契機に一段と強まった。独協埼玉は入学時にスポーツ推薦枠がない。部員全員が同じスタートを切り、厳しい練習もともに汗を流してきた。特に「最後の夏となる3年生は残された時間の少なさを自覚し、例年以上に団結力が強まった」(木暮監督)。

 3年生は24人。全員がベンチ入りできるわけではない。「試合に出られない同級生の分まで頑張りたい」と力を込めるレギュラーに対し、ベンチ入りできなかった同級生は「力の限り応援したい」と応える。一試合でも多く、このチームで試合に臨みたい-。春の敗戦以降、心は一つになり始めている。

 とはいえ、グラウンドの夜間照明はなく、中学野球部と共有。下校時間は午後7時と定められ、練習も切り上げる。決して恵まれた練習環境とはいえないが、春の敗戦以降の練習試合は14勝1敗と好成績を残している。夏の県大会は平成27年の4回戦進出が最高成績の「どったま」。春のコールド負けをバネに、チーム一丸でさらなる高みを目指す。