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横浜高で春夏5度の甲子園制覇 子供に「人生の勝利者たれ」 充実の指導者生活50年

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横浜高で春夏5度の甲子園制覇 子供に「人生の勝利者たれ」 充実の指導者生活50年

 高校野球で横浜を春夏合わせて5度の甲子園制覇の強豪校に育て上げた。プロ野球・横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智選手ら多くの選手をプロに送り、平成27年夏を最後に勇退した渡辺元智前監督。昭和40年のコーチ就任から始まった指導者生活は50年に及んだ。第100回の記念大会となる今夏の全国高校野球選手権の南・北神奈川大会を前に渡辺前監督は「非常に充実していた。子供たちには『人生の勝利者たれ』という言葉を送ってきた」と振り返る。

 若い頃はスパルタ練習だった。「指導理念なんてない。勝利至上主義ですよ」。48年の選抜大会で初出場優勝。だが、その夏は、神奈川大会で敗退した。

 翌年の夏の大会以降はライバルの東海大相模の壁を乗り越えることができず、甲子園に手が届かなかった。「何かを変えなければ」。ここで、選手たちとの対話の必要性に気付いたという。

 ◆公式戦44連勝

 55年、エースで元中日ドラゴンズの愛甲猛選手(投手から野手に転向)を擁して、初めて夏の甲子園大会を制した。やんちゃだった少年と、とことん向き合った末につかんだ頂点だった。

 鋭い分析力を持ち、平成6年に部長に就き、後にコーチとなった小倉清一郎氏と二人三脚で、甲子園を沸かせた。10年には中日ドラゴンズの松坂大輔投手を中心に、史上5校目となる春夏の甲子園連覇を果たすなど、公式戦で44連勝を記録。渡辺前監督は「これ以上のものはないというくらい、完璧だった。自分たちの指導理念を確立できた」と語る。

 ◆目配りを大切に

 18年春に5度目の優勝を果たすと、晩年は「野球は教育そのものだ」という境地に行き着いた。ベンチ入りができない選手たちには「プロに行って大成する以上に、今後の人生で大きなものを得よう」と説いた。才能に秀でた選手たちよりも、スポットライトの当たらない選手たちへの目配りを大切にした。

 一線を退いた現在は、全国で野球の普及、振興に取り組んでいる。「野球は試合の中でのミスが、生きる教訓になる。たくましい子供を育てていくには、野球だと思うんだよな」。子供の野球離れが顕著とされる中、言葉の端々に野球への愛情と感謝がにじみ出ていた。

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 全国高校野球選手権南・北神奈川大会の開幕が近づいている。今年の夏は、どんな熱戦が繰り広げられるのか。県内の高校野球ファンの期待も高まっている。

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【プロフィル】渡辺元智

 わたなべ・もとのり 昭和43年に母校・横浜の監督に就任。春は3度、夏は2度の甲子園制覇を果たす。平成10年にはエースの松坂大輔投手を擁して、春夏連覇を達成。筒香嘉智選手ら多くの教え子がプロ野球で活躍している。73歳。本県出身。