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【汗にまみれて 100回目の夏】(1)熊谷商 「継続は力」古豪に根付く合言葉

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【汗にまみれて 100回目の夏】
(1)熊谷商 「継続は力」古豪に根付く合言葉

 春夏合わせて過去6度の甲子園出場経験を誇る古豪、熊谷商は昭和60年春を最後に、33年間も夢舞台の土を踏んでいない。それでも、一つの合言葉を胸にひたむきに前を見る。

 「継続は力なり」。こう記された巨大な看板が専用グラウンドにある。県高校野球連盟の副理事長も務めた故野中武久・元野球部長の座右の銘だ。平成14年の退職時、看板を寄贈した。

 「『まるで昭和だ』といわれることもある」。新井茂監督(39)は看板を見ながら、こう苦笑する。だが、古くさそうなスローガンは、汗や土にまみれながらも、歯を食いしばって厳しい練習に取り組む部員たちの精神的な支柱になっている。努力は必ず報われる-と信じているからだ。

 3年の外野手、岡田悠汰選手(17)は4月、レギュラーを外れた。切磋琢磨(せっさたくま)しなければ、いつでも控え選手にポジションを奪われる。新井監督の刺激策だった。

 「自分はレギュラーで当たり前という気持ちだったから」。突然の“降格”を伝えられた岡田選手は衝撃を受けたが、逆に、夏本番を前に「ここで終われない」と心を燃やすきっかけになった。実際、毎日500回の素振り練習を800回に増やした。一心不乱にバットを振った。汗びっしょりになりながら、合間に「継続は力なり」とつぶやき、またバットを握り直した。試合でも今まで以上にチームの応援に力を注ぐようになった。

 新井監督の思惑は的中した。「悠汰は確実にレベルアップした」。こう口をそろえる他の部員たちへの刺激にもなり、岡田選手は5月にレギュラーに戻った。

 どんなに点差が離れていても、諦めず、最後は打ち勝つのが「熊商野球」。「継続は力なり」を支えに取り組んだ練習量は熊商野球の裏付けとなっている。午後8時、練習の締めくくりは必ず看板に向かって部員全員が一礼。昭和17年生まれの野中元野球部長の精神は平成世代の心に深く、確実に根付いている。

 「夏の熊商」と呼ばれるほど夏に強いとされる熊谷商野球部は、数多くのOBの期待を背に、憧れの地を目指す。「復活の夏」となるか-。

                     ◇ 

 7日開幕の第100回全国高校野球選手権埼玉大会(県高野連など主催)。ほとばしる汗、土にまみれたユニホーム…。頂点を目指し、白球を追いかける球児たちの勝負の夏を4回にわたり紹介します。(この連載は竹之内秀介が担当します)