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福井地震、70年の記憶継ぐ 紙芝居読み聞かせ、実践的な避難訓練 進む風化、活動続く

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福井地震、70年の記憶継ぐ 紙芝居読み聞かせ、実践的な避難訓練 進む風化、活動続く

 福井地震から28日で70年を迎える。内閣府によると死者は3769人で、東日本大震災、阪神大震災に次いで戦後の地震で3番目に多い。被災者はいずれも高齢となり、人々の記憶も風化が進む中、被害を語り継ごうとする活動が地道に続けられている。

 昭和23年6月28日の夕、当時の丸岡町(現坂井市)や福井市など、北陸地方を中心に強い揺れが起きた。死者の大半は同県内。終戦間際の空襲で9割の家屋が焼失したとされる福井市では、再建後の8割に当たる1万棟以上が全壊、火災も多発した。

 福井市の消防士だった平野和夫さん(69)は、この年の12月に生まれた。「風化が進み、あと数年もすれば経験者はいなくなる。誰かが語り継がないといけない」。昨年、地震当時26歳で小学校教諭だった故加藤恒勝さんの経験を基に紙芝居を作った。

 加藤さんは映画館で被災し、崩れた梁に左腕を挟まれて動けなくなった。迫り来る炎から逃れるため、映写技師におのを持ってくるよう頼み、自ら腕を切り落とそうとするが力が入らない。結局、技師に腕を切断してもらい生き延びた。加藤さんは、この経験を学校などで語り続け、平成18年に84歳で亡くなった。

 講演を依頼したのがきっかけで親交があった平野さんは「自分だったらパニックになっていただろう。生き抜く力を感じてほしい」と紙芝居で訴える。市内の各消防署に配ったほか、自らもイベントなどで子供たちに読み聞かせている。

 福井地震以降、県内で大きな地震は発生していない。しかし、福井工業大(福井市)の竹田周平教授(建築土木工学)は「いつどこで起きてもおかしくない。普段からの備えが重要」と訴える。より実践的な避難訓練を提唱、県内や石川県の小学校で指導している。訓練では廊下に跳び箱や平均台といった障害物を置く。ガラスが割れるなどして通れないとの想定だ。

 「楽しみながら学んだことは忘れない」と4、5人で班を組み、ルートは子供たちに考えさせる。竹田教授は「児童らは福井地震をよく知らない。訓練を通じて、阪神大震災までは戦後最大の地震被害とされた福井での地震について学んでほしい」と話している。