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【書と歩んで 21世紀国際書展特別大賞の4人】(1)グランプリ・吉野蓬城さん(78)

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【書と歩んで 21世紀国際書展特別大賞の4人】
(1)グランプリ・吉野蓬城さん(78)

筆先に心を込めるという吉野蓬城さん=横浜市(山根聡撮影) 筆先に心を込めるという吉野蓬城さん=横浜市(山根聡撮影)

 ■暗中模索の工夫面白い

 「新古今和歌集」で詠まれた式子内親王の歌を、全紙(70×136・3センチ)にしたためた。

 〈遊ふ多遅の雲も登まらぬ那つ乃日農 可た布くや万耳比くらし乃聲〉(夕立の雲もとまらぬ夏の日の かたぶく山にひぐらしの声)

 「ここで墨を入れ、ここでからし、ここにアクセントを。探りながら、何十枚も。そういう暗中模索の工夫が、面白い」。歌の情景とマッチした涼やかな流れ。「時期的にいいかなと。春と秋の歌は多いですが、夏は少なくて」

 吉野蓬城さん(78)の「蓬」は植物のヨモギ。薬草で、食料でもある。「しっかり根を張り、人のためになる」ことが望まれている。30代のある日、習字について「大それた考え」が浮かんだ。「日本から習字がなくなってしまわないか。廃れさせてはいけない」と。さらにもう一つ、自分のために「年をとってから心に穴があかないように」と。

                 × × ×

 「恥ずかしいんですよ。歴代の皆さんが立派すぎて、未熟者の私など…」。そう謙遜しつつ、「恵まれていた」と振り返る。確かに受賞は実力と努力のたまものだが、書家としての吉野さんの誕生には“天の恵み”も少々手伝ったのだろう。

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