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【甲信越うまいもん巡り】新潟・居酒屋「福美」 旬のお通しに日本酒ぴったり

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【甲信越うまいもん巡り】
新潟・居酒屋「福美」 旬のお通しに日本酒ぴったり

 日本海に沈みかけた夕日がオレンジ色に町を染める中、1つの赤ちょうちんがほのかに輝いている。ちょうちんの横にある店の入り口には青い暖(の)簾(れん)がはためき、その上に赤いレトロな「キリンビール」の看板が掲げられている。新潟市中央区上大川前通の居酒屋「福美」は、外から見るだけでも、どこか懐かしい昭和の雰囲気を思い起こさせる。

 「いらっしゃい!」。信濃川の河川敷からほど近くにある店を切り盛りしている女将(おかみ)の高橋みさ子さん(75)は、今日も元気な声で客を出迎える。

 高橋さんは東京都出身。昭和41年にご主人の実家があった新潟県に移り住んだ。今でこそ繁華街となっているJR新潟駅周辺だが、当時は田畑が広がり、東京出身の高橋さんは非常に驚いたという。その後、ご主人が亡くなったこともあり、36歳の時にこの地に店を開いた。“江戸っ子”だけあって、どこかきっぷのよい高橋さん。常連客から「お母さん」と呼ばれ、慕われている。

 同店で人気があるのが、旬の食材を使ったお通し。ワラビなどの山菜、バイ貝やイカなどの海鮮、菊を使ったおひたしなど、新潟県ならではの季節の味を楽しめる。日本酒も「吉乃川」に始まり、「越乃寒梅」「久保田」「鶴の友」など、新潟県を代表する銘柄を取りそろえている。

 カウンターに座ると、この季節にお薦めという十全ナスの漬物のお通し(250円)が出てきた。ナスの身はちょうどいい歯応え。ナス本来の甘みと塩気が絶妙に合わさり、日本酒の付け合わせにぴったりだ。

 一品料理の中では、高橋さん手作りのギョーザ(500円)も好評。パリパリに焼き上げられた皮の中に、豚肉とニラ、ニンニクがたっぷり。ボリュームもスタミナも満点だ。香ばしい匂いが食欲をそそり、いくらでも食べられる。

 店を訪れるのは地元の人だけでなく、県外からの旅行客や単身赴任の会社員も。店の常連で、単身赴任中の男性会社員(24)は、「いろいろな人たちと触れあえる場所で、自分の中で唯一落ち着ける空間です」と満足そうに話した。

 今年の10月で開店から40年の節目を迎える。「最近は若い人もよく来てくれる。欲をかかないで、これからもゆっくりと店を続けたい」(太田泰)

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 ◆「福美」 新潟市中央区上大川前通4の45。定休日は第2、第4日曜、年末年始。日本酒をはじめとするお酒のほか、一品料理も充実している。営業時間は午後5時半~午前0時。問い合わせは(電)025・224・0459。