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【ZOOM東北】青森発 関電の中間貯蔵事業めぐりむつ市、不信感強める

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【ZOOM東北】
青森発 関電の中間貯蔵事業めぐりむつ市、不信感強める

 関西電力が青森県むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設への搬入・一時保管を目的に施設を運営する「リサイクル燃料貯蔵」(RFS)に出資する方向で調整しているとの報道が波紋を広げた。関連する事業者は一斉に報道内容を否定したものの、関電の中間貯蔵事業をめぐる動向に市は反発を強め、国のエネルギー政策に対する不信感も募らせた。(福田徳行)

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 「関電が使用済み核燃料をむつ市の中間貯蔵施設に一時保管する方針を固めた」。発端は年明けの一部報道だった。

 関電は昨年11月、大飯、高浜、美浜の3原発がある福井県に対し、使用済み核燃料の搬入先について、今年中に同県外の候補地を示すと表明したが、中間貯蔵施設の確保が課題。関係者の間で同市の施設を使用する案が浮上する中で報じられたものとみられる。

 そもそもRFSは、東京電力ホールディングス(HD)と日本原子力発電が出資して設立され、同施設には両社の原発から出た使用済み核燃料を搬入する。「関電からの受け入れは想定していない。到底、受け入れられない」。宮下宗一郎市長は強く反発、事業者に対する不信感をあらわにした。

 ◆出資報道で波紋

 こうした中、今月初めに関電が使用済み核燃料の同施設への一時保管を目的に新たにRFSに出資するためのファンドの設立を検討している-との新たな動きが報じられた。

 「われわれの関知していないところで事業が変貌し、市民に不信感が広がっている。報道が事実であれば立ち止まって考える」。年明けに続いて、関電と同施設をめぐる報道に、宮下市長は事業の見直しもちらつかせるなど怒りは頂点に達した。関電、RFSともすぐさまホームページで報道内容を否定。市は国と県の認識を確認するとともに東電、日本原電、RFSの3社からヒアリングを行った。

 ◆「下北は遅れている」

 市が一連の報道に反発した背景の一つに、青森市内に2つの事業所開設を発表した関電に対する不快感がある。5月30日、三村申吾知事も出席して同市内で行われた立地基本協定調印式で関電の岩根茂樹社長は、同市への進出が中間貯蔵施設利用を念頭に置いた「地ならし」ではないかとの質問を否定し、地域振興の側面を強調。むつ市の鎌田光治副市長も今月4日、佐々木郁夫副知事と会談した際、関電の事業所開設と同施設の関連性をただしたが、県も否定。RFSの坂本隆社長は「むつ市民からすれば(青森市への事業所開設が)私どもの事業に関係あると臆測を呼んでいることが心苦しい」と話す。

 宮下市長は原子力関連施設が集中立地する下北半島の東通村、大間町、六ケ所村の牽引(けんいん)役として、かねて国や県に対して下北地域の振興策を要望するとともに、県に対しては原子力行政への主体的な関わりを求めている。

 4市町村では国策への協力と地域振興策の“温度差”への不満も垣間見え、むつ市内のある商工関係者は「下北地域は何かと遅れている。国や事業者が何らかの事業をむつ市でやれば地域の活性化につながるのに…」と複雑な心境を吐露する。

 日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)の操業開始が見通せない中、原発の再稼働が徐々に進むと中間貯蔵の受け入れ探しは喫緊の課題だ。だが、中間貯蔵施設はむつ市にしかなく、しかも今回の報道で市には、なし崩し的に使用済み核燃料が搬入されるのではないかとの疑念があり、国や事業者への不信感も拭いきれない。今後はエネルギー政策に責任を持つ国が前面に立ち、施設の必要性に対する市の理解と協力を求める真摯(しんし)な対応が重要だ。