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第1回「香川歌人短歌賞」 高松・牧さんの「滞空時間」

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第1回「香川歌人短歌賞」 高松・牧さんの「滞空時間」

 香川県歌人会(水落博会長)は、県内の歌人を顕彰する目的で新たに設けた第1回「香川歌人短歌賞」を高松市茜町、牧聖枝さん(57)の「滞空時間」(30首)に決定したと発表した。

 人生の後半に入ったことを強く自覚することが多くなり、自らの生活、感慨をいとおしむ気持ちで詠んでいる。「共感できる。表現が現代的で、素材が新鮮で魅力がある」と高い評価を受けた。

 《声あげて払う迷ひはすでになく生の滞空時間いとしむ》

 「人生に迷うことは今でもありますが、若い時のような激しい迷いではなく、もう少し冷静に生きる上で『鳥が空をいくように』とか『紙飛行機が空にとどまっている』という滞空時間があるのだと思うようになった。そこをいとおしむように、大切に、これまでの人生も含めて生きていこうという思いを込めた」と話す。

 《繋がるる星ひとつにて柔らかき距離に浮きたる小さき家族》

 娘が独立し、今は夫と過ごす。「お互いの人生とか、これから先のことについて話すことが増えてきた。程よい距離、自分の人生をお互い尊重できるようになってきたという思いがすごく強い。それを“柔らかき距離”という言葉に当てはめてみました」。牧さんの作品は家族を詠んだものが多い。

 平成10年に高松市民学校短歌講座に参加して短歌を作り始め、同会の新人賞に選ばれたことがある。

 牧さんは「第1回を受賞できることを驚いたし、喜びがわいてきた。新人賞をいただいてから16年がたち、少しずつ自分なりの短歌を作り続けてきてよかった。大上段に振りかざしたものではなく、自分の中でギュっと凝縮した歌を作りたいと常々思っている」と喜びを語った。

 香川歌人短歌賞は、同会の久保井信夫賞などを引き継いで、実力のある歌人を顕彰しようと新しく創設した。