産経ニュース

出雲・日御碕地区描く昭和初期の観光パンフ発見、市が「復刻版」発行

地方 地方

記事詳細

更新


出雲・日御碕地区描く昭和初期の観光パンフ発見、市が「復刻版」発行

 昭和初期に発行された島根県出雲市・日御碕地区の観光案内パンフレットが見つかった。一帯の鳥瞰(ちょうかん)図を掲載し、国重要文化財・日御碕神社や日御碕灯台などのスポットを紹介、鉄道駅の発着時刻を載せるなど、屈指の観光名所だった往時の繁栄ぶりをしのばせる。市はこのパンフを基に「復刻版」を製作した。

 見つかったパンフ「出雲日御碕案内」は、B5判の蛇腹折りで一帯の鳥瞰図や名勝案内を掲載。日御碕神社や日御碕灯台のほか、経島、天一山の除夜神事などを紹介している。今は「日が沈む聖地」として日本遺産となった同地区だが、当時の案内では「太古の神話に溢(あふ)れる神秘な神都」とPR。「人々は明眉な山水風光に荘厳典麗雄大な社殿に一驚せられ」「山の翠海の紺碧に配するに白鴎の大群鳴き飛ぶ様は一幅の絵画そのもの」と称賛している。

 また、交通アクセスとして大社駅(当時)の発着時刻表を載せ、大社一畑北松江間電車(現一畑電車)の始発や最終なども明記。自動車は「大社着列車時間ト連絡往復ナス」、発動機船は「午前八時ヨリ終日十数回往復ナス」としている。

 日御碕大神宮教の責任役員を務める小野篤彦・ミュージアムいちばた支配人(61)が昨秋、祭りの準備中に、教団施設内で保管されたままになっているのを見つけた。鳥瞰図の様子から、昭和初期から10年までの製作とみられる。編集兼発行者として記されている「日置邦範」という人物は、日御碕神社の社家・小野一族の一人で、機械などの設計技術者。絵を描くのも得意だったという。

 小野さんからパンフの存在を聞いた市文化財課が、資料的価値を確認した上で同市日本遺産推進協議会の魅力発信推進事業としてパンフを復刻した。復刻版では、当時の鳥瞰図や表紙を転載した一方、現在の日本遺産としての要素も盛り込み、当時と現在の写真を組み合わせて8万5千部を発行した。同課は「昭和レトロの雰囲気漂う新たな観光ガイドとなった。日本遺産という新たな魅力が付加された日御碕をPRしたい」としている。