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鳥取を代表する民俗芸能「麒麟獅子舞」もとは狛犬!? 県教委、調査報告書を刊行

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鳥取を代表する民俗芸能「麒麟獅子舞」もとは狛犬!? 県教委、調査報告書を刊行

 鳥取県を代表する民俗芸能「麒麟獅子舞」を多角的に分析した「『因幡の麒麟獅子舞』調査報告書」が発刊された。麒麟獅子舞の歴史や地域的な分布などについて最新の研究成果を紹介。現在の定説である、鳥取藩初代藩主・池田光仲が「麒麟獅子舞」を創始したとする説にも新たな論点を示し、興味深い。

 A4判、504ページ。県教委が、平成26~29年度に国の補助を受けて行った調査事業の報告書として作成した。麒麟獅子舞は、頭頂に角1本を持つ面長の獅子頭を着け、2人で舞う獅子舞。「猩々(しょうじょう)」と呼ばれる獅子の相手役を伴う。

 調査では、分布状況を調査した。県東部と兵庫県北部の広い地域に加え、北海道の一部などにも分布。麒麟獅子舞は全198頭あり、神社180社で奉納されていた。そのうち、調査時点で実際に舞われていたのは132頭だった。

 永井猛・米子高専名誉教授は報告書の中で、麒麟獅子舞が生まれた文化的背景を考察した。これまでの研究史をさかのぼると、昭和50年代に、池田光仲が麒麟獅子舞の始まりに深く関わるとする見方が登場。平成5年、鳥取大の野津龍(のづ・とおる)教授(当時)が論考『因幡の獅子舞研究』で、光仲が、因幡(鳥取)東照宮の祭礼行列に登場する神楽獅子の頭を、優れた政治をすると出現するとされる麒麟に変え、鳥取で麒麟獅子舞が始まった、との説を打ち出し、以後、定説となっている。

 永井氏の論考では、「麒麟獅子」と書いた江戸時代の文献がなく、「麒麟」の表記は明治終わり頃から、と指摘。その上で、江戸中期の鳥取藩士が、祭礼の一本角の獅子を「狛(こま)犬」と表記▽「徳川家康公画像」(日光東照宮所蔵)で、家康の前に守護の獅子と角のある狛犬を描写-などを挙げ、狛犬などの系統の面長な頭で舞ったのが因幡東照宮祭礼の獅子舞だったのではないか、と推論する。

 調査報告書にはこのほか、各地に伝わる麒麟獅子舞の獅子頭の3次元計測、囃子(はやし)の採譜など詳細な記録も収載した。1冊2700円で、県庁県民室で販売している。