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「熊本のシンボル」を総合的に探究 「阿蘇学会」始動、世界へ発信

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「熊本のシンボル」を総合的に探究 「阿蘇学会」始動、世界へ発信

 熊本のシンボル・阿蘇に関して、さまざまな研究や活動に携わる人が集う「阿蘇学会」が4月に発足した。研究だけでなく、阿蘇を中心とした地域振興にも取り組む。アソロジー(阿蘇学)を確立し、世界遺産登録という大目標も掲げ、活動している。 (谷田智恒)

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 熊本地震の発生から2年となる4月14日、阿蘇学会の設立総会が、熊本市内で開かれた。学会の会長兼理事長に選出された元熊本大学長の谷口功氏(70)は「富士は日本一、阿蘇は『世界の阿蘇』。幅広く知見を深めて、阿蘇の魅力を世界に発信したい」と意気込みを語った。

 阿蘇学会は、地質や火山など自然科学の分野だけではなく、人々の暮らしや観光などあらゆる面から、阿蘇を学ぶ。県内の大学教授や文化団体、企業の関係者、そして阿蘇地域の住民らで構成される。

 阿蘇は世界的にも知られる。

 阿蘇五岳を中心に広がるカルデラと、これを取り巻く外輪山は雄大な景観を誇る。さらに特徴的なのはカルデラ内に、古代から人々が定住し、自然と共生しながら、独特の文化、歴史をはぐくんできた。

 この阿蘇を探求しようと、熊本市の一般財団法人「創造くまもと」代表で、元参議院議員の木村仁氏(83)が学会設立を呼びかけた。

 「富士山に富士学会があるのだから、阿蘇にもつくるべきだ」。木村氏は、知人の富士学会初代会長から、こう勧められたという。

 3年前から準備を始め、設立準備委員会の事務局を、同法人内に設けた。大学や研究機関、阿蘇ゆかりの企業などに声をかけた。準備委の初会議を、平成28年4月16日に計画した。

 その2日前、熊本地震の前震が起きた。会議は延期になった。

 それでも木村氏らは、地震から2カ月後の同年6月、設立準備を再開した。

 「阿蘇学のすすめ」と題した準備講座を計11回開いた。阿蘇に関する各分野の研究者を招き、延べ約700人が受講した。

 今年4月14日、設立総会にこぎ着けた。この日を選んだのは、阿蘇学で熊本の創造的復興に寄与する、との決意を示す目的だった。

 ●愛好家も歓迎

 阿蘇学会では今後、あらゆる分野の知見を結集し、阿蘇の全体像を科学的に解明する。研究活動を、地震からの復興にも生かす。

 そのほか、阿蘇地域での年次総会や学術大会などを計画する。市民や子供向けのセミナー、講演会なども開く。

 会長に就任した谷口氏は「研究者を軸に、阿蘇に関連するさまざまな分野で活動する人々、阿蘇愛好家の参加も歓迎する。開かれた研究集団を目指す」と語った。

 さらに、富士山と同じように、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産登録も目標に掲げる。

 木村氏は「阿蘇はすでに、世界ジオパークや世界農業遺産に認定されている。学問と阿蘇が好きな市民を巻き込み、世界遺産に向けた機運醸成も図りたい」と述べた。

 同学会は熊本学園大(熊本市中央区)に事務局を置く。会員も募集。年会費は正会員5千円、一般会員3千円、学生会員1千円。問い合わせは、創造くまもと(電)096・340・0228。