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【新潟知事選】記者座談会(上)池田陣営、批判一辺倒が逆効果

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【新潟知事選】
記者座談会(上)池田陣営、批判一辺倒が逆効果

 無所属の3新人が争った知事選は10日投開票され、約54万6千票を得た元海上保安庁次長の花角英世(60)=自民、公明支持=が、事実上の一騎打ちとなった元県議の池田千賀子(57)=立民、国民、共産、自由、社民推薦=に約3万7千票差をつけ、与野党対決の激戦を制した。元五泉市議の安中聡(40)の得票は約4万5千票だった。各陣営の戦いぶりを担当記者が振り返り、選挙結果の影響などを分析する。(敬称略)

 --花角の勝因は

 記者A「本県の低迷ぶりが最大の勝因。県民は前回選で当選した米山隆一に『変化』を託したが、女性スキャンダルで裏切られた。その反動で無党派層が花角に流れた」

 記者B「花角は街頭演説で政策を訴え続け、他候補の批判は一切しなかった。誠実な姿勢と公約が好感を持たれたのではないか。自民と公明の組織票を土台に、勝手連的な市民の支えで票が上積みされた」

 記者C「県内では大型選挙で連敗していた自民が『県民党』をアピールし政党色を薄めたことで、幅広い層の支持が集まったのだろう」

 記者D「それはどうかな。自民や公明が花角を支えているのは明らかだったからね。勝つために『名を捨てて実を取る』戦略は政党の存在意義を自ら否定するもので、情けなかった」

 --池田の敗因は

 A「県議時代の知名度は高くはなく、県政トップの力量があるか有権者は判断しにくかった。女性候補への厳しい視線もあった。あってはならない性差別だが『女性に知事は無理』という声も耳にした」

 D「前回選で米山を担いだ野党勢への不信感も響いたのは間違いない」

 B「陣営のスローガンは『新潟のことは新潟で決める』なのに、応援にきた中央政界の野党幹部らは安倍晋三政権の批判一辺倒で、池田の足を引っ張った。評論家の佐高信は『安倍のバカなバカ騒ぎを打ち破る』と声高に叫んでいたが、永田町の戦いを知事選に持ち込み、しらける有権者も少なくなかった」

 C「陣営は原発再稼働を争点に据えたが、花角も安中も再稼働には慎重、否定的で反原発票が分散した」

 --共同通信の出口調査では無党派層の約56%が池田、約40%が花角に投じた

 A「思った以上に、花角に無党派の票が流れ込んだ。米山の辞職理由があまりにお粗末だったため『今度は与党に投じようか』と考えた人も多かったのでは」

 C「無党派の票で上回りながら池田が負けたのは、野党の支持層を固めきれなかったということだ」

 --開票時の様子は

 C「池田陣営は開票前から諦めムードだった。メディアの出口調査で一部地域が優位と伝わると盛り上がったものの、勝てると信じていた支援者は少ないように見えた」

 B「花角陣営ではテレビで優勢の情報が流れる度に大歓声と拍手に包まれた。終始、比較的穏やかな雰囲気だったのは、勝算がある程度あったからだろう」

 A「池田は明るい色の和服に身を包んでいた。県議選の初当選時は赤い和服。本人は『和服が好きなので』と話していたが、験担ぎだったのか、勝てると思っていたのか…」

 --約3万7千票の差が持つ意味をどう見るか

 B「思ったよりも差が開いた。生まれ故郷の佐渡市や大票田の新潟市中央区で花角が大差をつけたのがモノを言った」

 A「全投票数(約110万票)の約3%にすぎず、自民党関係者は『誤差の範囲だ』と冷や汗をかいていた。ただ『森友・加計学園問題をあれほど追及した野党が勝てなかったのは、国民の支持が得られなかったということだ』とも指摘していた」

 C「選挙後、野党側は『政権への批判の大きさを示した』と強弁したが、総力戦で支えた統一候補の敗戦は大きな痛手。選挙戦略の練り直しを迫られるだろう」

 D「安中と池田の票を足せば、花角を8500票余り上回る。政権や官僚への批判から花角が逆風にさらされた面もある」

 --投票率は58・25%と前回選を5・20ポイント上回った

 B「大接戦が予想され、関心を集めたのではないか。期日前投票が有権者に浸透した効果もある」

 A「投票日が好天に恵まれたこともあるが、スキャンダルからの出直し選で、本県初の女性知事が誕生する可能性もあり、野党幹部が応援に顔をそろえるなど話題が多かったからではないか」