産経ニュース

袴田事件、再審認めず 「振り出し」「考えられぬ」朗報信じた支援者落胆 静岡

地方 地方

記事詳細

更新


袴田事件、再審認めず 「振り出し」「考えられぬ」朗報信じた支援者落胆 静岡

 死刑確定後に釈放された袴田巌元被告(82)の即時抗告審で、東京高裁が11日、再審開始を認めない決定をしたことを受け、県内で“朗報”を信じていた支援者の間には失望が広がった。弁護側は特別抗告する方針だが、静岡地裁の再審開始決定からこの日まですでに4年以上が過ぎており、今後最高裁で特別抗告審を争うとなればさらに数年の時間を要することになる。

 再審開始を求めて先月設置された「袴田巌さんの壁」がある静岡市葵区の弁護士事務所前には、この日正午すぎから支援者らが集まり始めた。支援者らは「袴田巌さんの二度目の裁判のやり直しが決まりました」と大書きした垂れ幕を準備し、再審への扉が開かれる瞬間を今か今かと待った。

 ところが午後1時半すぎに「東京高裁が再審決定を認めず」との一報が伝えられると、支援者の間に重苦しい空気が広がった。長年支援活動をしている石川善朗さん(76)は「振り出しに戻ってしまった。新証拠も出して闘ってきたのに、裁判所には見てもらえなかったのか」と声を絞り出した。

 事件当時、現場近くに住んでいたという近藤勝光さん(81)は「考えられない。この4年間が全く無駄になってしまう。まるで袴田さんが死ぬのを待っているかのようだ」と憤った。正午過ぎから「袴田巌さんの壁」前に陣取っていた大井美智子さん(73)は「やっと自由を取り戻しつつある袴田さんにまだ裁判をしろというのか」と涙ぐんでいた。

 一方、高裁決定を受けて取材に応じた県警刑事企画課の柏木孝敏課長は「本件の審理は東京高裁において法曹三者が当事者となって非公開の手続きで行っており、県警としては答える立場にない。今後も推移を見守りたい」と述べるにとどめた。4年前の静岡地裁の再審開始決定では、「重要な証拠が捜査機関に捏造(ねつぞう)された疑いがある」とされたが、今回の高裁決定では逆に「捏造した合理的な疑いは生じない」と認められた。この点についても柏木課長は「審理の内容について県警としてコメントするのは控えたい」と論評しなかった。(田中万紀)