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空海真筆の和韻詩?拓本発見 高野山大学・大柴研究員「原本がどこかに…」 和歌山

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空海真筆の和韻詩?拓本発見 高野山大学・大柴研究員「原本がどこかに…」 和歌山

 高野山大学密教文化研究所(高野町)の大柴清圓(しょうえん)研究員(中国古文字学)は6日、優れた書家の「三筆」の一人、弘法大師・空海の真筆とみられる「和韻詩」から直接写し取った可能性が高い拓本が、四天王寺大学(大阪府羽曳野市)で見つかったと発表した。関連目録や紙の状態から、江戸時代中期の拓本とされる。大柴氏は「弘法大師の書の特徴を示しており、真筆をもとにした拓本である可能性が高い」とみている。

 大柴氏によると、「和韻詩」とは、贈られた詩の押韻を変えずに作られた返礼の詩。見つかった拓本は、空海が高野山を開山する前にあたる平安時代前期の弘仁(こうにん)5(814)年、嵯峨天皇に宛てた詩とみられ、「恩賜(おんし)の百屯の綿兼ねて七言の詩を奉謝する詩一首并(なら)びに序」と賜(たまわ)った綿への謝辞を述べるなどしている。

 「和韻詩」は木や石に直接刻んだとみられ、この原本が空海の真筆ならば、真筆をもとにした拓本としては初めての発見という。この詩は空海の詩などを集めた「性霊集(しょうりょうしゅう)」の一部に収められており、高野山真言宗の僧ならそらんじることができるほど有名だが、これまで原本や拓本は見つかっていなかったという。

 今回の拓本は、天皇や仏様に関する単語の上に「欠字」と呼ばれるスペースを空けて礼儀を示した点など、空海の書の特徴をよく表しているという。また、「弘法も筆の誤り」を思わせるような不要な字もみられ、大柴氏は、下書きをしなかったという空海の逸話を示す詩ともみている。

 四天王寺大学の図書館内で3月、古典籍を所蔵する「恩頼(おんらい)堂文庫」を調査した際に発見したという大柴氏。「3つの書体(楷・行・草)を自在に使いこなしているなど、書としての出来栄えもすばらしい。きっと原本がどこかに眠っているはずだ」と話している。